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年齢別アルバム ポール・ウェラーのキャリアと変化

みうらじゅん氏は「ディランのアルバムは自分の年齢と同じ作品を聴け、味わい深いから」と「ディランがロック」の中で語っていた。当時のディランの考えや迷いが理解しやすくなると。長いキャリアを誇るポール・ウェラーにも同じやり方が有効だと思い、まと…

ポール・ウェラーのソロ16作のアルバムランキング!

ソロ16作のレビューを終えて、自分の尺度でアルバム順位付けしてみた。 ウェラーの30年超のソロの歴史は、大枠で3期にわけられる。ブレンダン・リンチ期、サイモン・ダイン期、その後(ジャン・スタン・カイバート)だ。サイモン・ダイン期に個人的にはウェ…

Paul Weller – Fat Pop 

2021年発表。コロナ禍に作成された。2作連続の全英1位。長いキャリアの中でも最も丁寧に作られた作品のひとつじゃないか。メロディと、アップデイトされたウェラーサウンドの水準がむちゃくちゃ高い。血潮滾るロックであり、職人的な「ポップ」である。両面…

Paul Weller – On Sunset

2020年、コロナ騒動の最中にリリースされたソロ15枚目の作品。「As Is Now」「Saturns Pattern」など、バランスが取れた傑作で組んだJan Stan Kybertがプロデュースを担当。達観した爺を演じた前作「True Meanings」と比べ、ウェラーらしいメロディや幅広い…

ポーグスのシェインと俺

ポーグスのシェインが亡くなった。 「脳炎で入院し集中治療を受けていたが、退院した」なんて報道があった最中だった。65歳。 ポーグスのライヴは2回観ている。どちらも自分の中でインパクトの強い音楽体験だった。 まず、ナラさんの結婚式の後、20時頃駆け…

Paul Weller – True Meanings

18年発表。前作から約1年、短いインターバルでリリースされた。アンプラグドっぽいアレンジで、内省的な曲が多く、ウェラーとしては異色作だ。曲によってはストリングスが絡んだり、ジャジーなナンバーもある。60代となったポール・ウェラー、年齢相応の落ち…

Paul Weller – A Kind Revolution

2017年発表。ソロ13枚目。英国5位。 前作のセッションで残った2曲「Woo Sé Mama」「One Tear」はジャン・スタン・カイバートの共作で、他のクレジットはウェラーのみ。更に久しぶりにセルフプロデュース。マルチプレイヤーのアンディ・クラフツ(the moons)…

Paul Weller – Saturns Pattern

15年発表のソロ通算12枚目。 ベストアルバムを挟んだこの作品。変化があった。00年代に入ってから出番が多かったサイモン・ダインではなく、「As Is Now」で組んだJan "Stan" KybertとAmorphous Androgynousがウェラーと共にプロデュース。作曲のパートナー…

Paul Weller – Sonik Kicks

2012年発表。全英1位。日本ではメディアに取り上げられることが少なくなったウェラーだが、実はUKチャート上ではアルバムが連続で1位を獲得し90年代以上に成功している。 このアルバムにはブラーのグレアム・コクソン、ノエル・ギャラガー、元ストーンローゼ…

Paul Weller – Wake Up The Nation

2010年発表、10枚目のソロアルバム。全英2位。 前作でまたひとつキャリアの頂点を越えたウェラー。成功したスタイルをあっさり捨て去り、長いキャリアの中でも抜群にアグレッシヴなアルバムを完成させた。 元ジャムのベーシスト、ブルース・フォクストンとの…

Paul Weller – 22 Dreams

08年発表のソロ9枚目。 ウェラー初の2枚組(LP)。ノエル・ギャラガー、ジェム・アーチャー、グレアム・コクソン、リトル・バリー等幅広いゲストも話題になった。 プロデュースはポール・ウェラーとサイモン・ダイン、スティーヴ・クラドックら。ソングライ…

Paul Weller – As Is Now

05年発表のソロ8枚目。全英チャート4位。 youtu.be 前作と同様、ジャン・スタン・カイバートのプロデュース。 「スタンリーロード」あたりの奥行きのある音とは異なり、ひとつひとつの音をクリアに慣らして、ジャム時代を彷彿とするシンプルでロックな音作り…

Paul Weller – Studio 150

04年発表。V2レーベル移籍第一弾はカバーアルバム。全英2位。アルバムタイトルはアムステルダムの録音スタジオ。 www.youtube.com 前年の03年にレア曲やリミックス、B面曲で構成された3枚組コンピレーションアルバム「Fly on the Wall: B Sides & Rarities」…

Paul Weller – Illumination

02年発表。ソロ6作目。全英1位。 www.youtube.com 長年サウンド面をサポートしてきたブレンダン・リンチと離れ、モッズのクラブシーンで活躍していたサイモン・ダイン(Adventures in Stereo→Noonday Underground)とコラボレーションした作品で、ソロ前期と…

Paul Weller – Heliocentric

90年代を浮き沈みの中サヴァイブしたウェラーが00年に発表したソロ5作目。全英2位。 ジャケットのリラックスした佇まいがかっこいい。 www.youtube.com 前作のラフな作風を引き継いでいるが、エネルギーは抑えめ。アコギやニック・ドレイクの諸作で有名なロ…

Paul Weller – Heavy Soul

97年発表。ソロ4作目。全英2位。 youtu.be 繊細なプロダクションが光った前作とは対照的に、アグレッシヴでライヴ感の強い作品。メンバー四人がスタジオで目を合わせながら録音した感じが伝わってくる。 youtu.be アレンジも、前作の高級感ある凝ったものか…

Paul Weller – Wild Wood

93年発表のソロセカンド・アルバムで代表作の一枚。全英2位とチャートでも成功し、現在に至るポジションを確立した。 www.youtube.com このアルバムが出た93年、ブラーが「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」を発表。翌年にはカート・コバーンが亡くなり、…

Paul Weller – Paul Weller

Paul Weller – Paul Weller 92年発表のソロ1ST。 「遅すぎた青春」スタイル・カウンシルの崩壊後、レーベルから首を切られたウェラーは、「ポール・ウェラー・ムーブメント」を立ち上げドサ回りから再起を図る。 模索の上辿り着いたのは、スモール・フェイセ…

Cecilio & Kapono – Night Music

77年発表。カリフォルニア生まれのセシリオ・ロドリゲス(人間的には・・・)とガチハワイアンなヘンリー・カポノによるユニットによる3作目。 ロサンゼルス録音。いかにも西海岸なサウンド(ウエストコーストロックの末期だ)とハワイアンらしい緩くてセン…

フジロック2023

「コロナ明けのフルバージョンフジロック」と銘打たれた今年!昨年のフジロックがかなりがっかりな感じ(卒業を検討させるようなレベル)だったので、今年も駄目だったら来年は無いかなと思ってたが、各ステージの充実ぶり、導線や休憩所の整備により、フジ…

Matthew Sweet – Altered Beast

93年にリリースされた4作目。セガの人気ゲーム「Altered Beast」にインスピレーションを受けており、マシューのゲーム愛が反映されている。 アルバムには、いくつも佳曲が収められている。特に「Devil With The Green Eyes」は、ドラマティックなメロディと…

Small Faces – Ogdens' Nut Gone Flake

1968年にリリース。 大学時代、ポール・ウェラーの影響でスモール・フェイセズばかり聴いていた時期があった。モッズを経由したファッションセンスとヤンキー的なマインドは、当時の自分の感受性の高まりと重なり合っていた。特にこの作品はガツンときた。 …

George Harrison - Gone Troppo

"> ">1982年にリリース。 この時期のジョージは映画製作やカーレースに夢中になっており、音楽への関心が薄れてた。アルバムはほとんど宣伝されずにリリースされ、英国ではチャート入りせず評論家たちからも酷評された。次の復活作と評される「クラウドナイ…

Belle & Sebastian – The Boy With The Arab Strap

">98年にリリース。 ">UKロックシーンはブリットポップの残り火の中、ロックとクラブサウンドが盛っていた。 ">ベルセバはそのようなシーンとは一線を画し、繊細でインディーズ志向の音楽を展開、独自のアプローチは注目を集め、日本を含むギターポップフリ…

Elvis Costello – My Aim Is True

1977年発表。エルヴィス・コステロのデビューアルバム。音質の良さとパンク的なエッジが印象的な傑作。ニック・ロウのプロデュースの元、ロンドンで短期間にライブレコーディング的にパッケージングされた。パンク的な切れのあるロックンロールやレゲエとい…

The Lemon Twigs – Everything Harmony

16年にデビューしたアメリカのロックデュオ「the lemon twigs」。60〜70年代のロックやポップスの影響を強く受けており、てらいなく好きなようにクラシックロックを鳴らすのが最大の魅力だ。 23年の最新作「everything harmonony」は、架空のバンドが活躍す…

King Krule – King Krule

2011年にリリース。1994年生まれで、このアルバムを作成した時にはまだ17歳。 ベン・ワットやベック、ブライト・アイズの初期作品にも通じるローファイ感と、UKっぽいダブな感覚、そしてシド・バレット的なサイケデリック感が混ざり合って、浮遊感のある独特…

R.E.M. – Automatic For The People

92年発表。R.E.M.のキャリアのみならず、90年代ロックの枠組みにおいても特筆すべき作品の一つ。 前作「Out of Time」がカラフルでアッパーな雰囲気だったのに対し、より暗くモノクロな印象を与える内容となっている。真夜中、月、静粛、静かな湖といったイ…

Yo La Tengo – This Stupid World

23年発表の17枚目。 夜と朝の合間の薄明るい世界で鳴っている感じのサウンドが復活。90年代〜00年代前半のヨ・ラ・テンゴが帰ってきた感じだ。長いキャリアのバンドだが、贅肉無しのシンプルなサウンドは変わらない。 www.youtube.com アイラのボーカルは深…

The Stands - Horse Fabulous

バンドにとって2枚目、最後のアルバムとなった作品。05年にリリースされ、バンドは解散した。 youtu.be 前作よりもさらに美しいメロディが丁寧に構築されている。 60年代のロックの要素を強く持ち、フォークロックへの憧れを港町リバプールから鳴らすことで…