solid bond

never a dull moment

Paul Weller – 22 Dreams

08年発表のソロ9枚目。

ウェラー初の2枚組(LP)。ノエル・ギャラガー、ジェム・アーチャー、グレアム・コクソン、リトル・バリー等幅広いゲストも話題になった。

 

プロデュースはポール・ウェラーとサイモン・ダイン、スティーヴ・クラドックら。ソングライティング、歌声、プロダクション、全てにおいて肩の力が抜け、自然体のポール・ウェラーを堪能できる00年代の傑作で、UK1位。評論家のウケも良かった。

 

音作りにサイモン・ダインが入っているため、全体的に整理されたクリアなサウンドだ。90年代から00年代前半のサウナのもわっとした空気のような熱苦しさはなく、河原の側道でのランニングぐらいの熱量で統一されている。曲の輪郭がくっきりと分かる感じ。


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2枚組ということもあり、ポール・ウェラーの「ホワイトアルバム」「メインストリートのならずもの」とも言える。ひとつひとつの曲が粒揃いで、全ての時期のポール・ウェラーを感じることができる。70年代後半からのウェラーのキャリアの総括になっていて、つまり「UKロックとは」の答えのような作品だ。そうそう、ジャムのスティーヴ・ブルックスが参加したのも話題になった。


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両A面シングル「All I Wanna Do (Is Be With You)」、「Have You Made Up Your Mind」はアルバムの中でも出来の良い曲。ソロ初期のウェラーを軽やかにした感じだ。リラックスした歌声と広がりを感じる演奏が素晴らしい。


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個人的には長年地味と感じていた作品で聴き込めていなかった。派手だった前作「AS IS NOW」との落差が大きく、アルバムに入り込むきっかけの曲が見つからなかった。アルバム発売から10年以上経ち、それぞれの曲が自然に入ってくるようになってようやく良さがわかった。08年当時の余裕がない生活環境も影響していたかも。今は良い作品だと思う。