solid bond

never a dull moment

Paul Weller – Stanley Road

95年発表のソロ3作目。英国では1位。

ウェラーの故郷に由来するアルバムタイトルは、ビートルズの最終作を彷彿とさせ、アルバムジャケットのコラージュはサージェントペパーのアートワークのデザイナーが作成するなどビートルズへのオマージュが当時のウェラーのポジションと自信を伺わせる。文句なしに代表作のひとつだ。


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ただ、初心者におすすめする作品ではない。ELOのリフをダイナミックなロックに変貌させたウェラーの代名詞とも言える「The Changingman」、熟成したワインのようなバラード「You Do Something To Me」、2作目の延長線上にあるかっこいいR&B「Broken Stones」、ソロのポールマッカートニー的なバラード「Wings Of Speed」といったわかりやすい曲はあるものの(こうやって取り上げると十分かも・・・)、全体的には前作以上に渋く玄人好みするアルバムだ。ドクター・ジョンを筆頭とするニューオーリンズ的なリズムに(「I Walk On Gilded Splinters」を取り上げていて、アルバムを印象付けている)、スモール・フェイセズを通り越し、ブラックベリーズを伴った頃のスティーヴ・マリオットがビートルズの影響を受けてR&B調の曲をやっているような感じ。そして、オリジナル曲の骨格は他のどのアルバムよりもビートルズっぽさを感じる。シンプルな良い曲を、アレンジでわざと深く、難しくしたような。


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プロデュースはブレンダン・リンチ。おそらくリンチにとってのベストワークではないか。前作の密室的な暑苦しさは抑えられ、一つ一つの音がクリアになりよりフレンドリーな音になっている。随所で聴けるダブ的なサウンド処理も隠し味的に良い。ギターソロの音もリアルで、まるでスピーカーの前で弾いているかのようだ。ここまでギターの鳴りが良い作品をあまり知らない。一方でドラムを中心にロック的なダイナミズムは増していて、非常にパワフルな音になっている。キャリア最高の素晴らしいサウンドだと思う。


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年が経つのと比例して良さが高まっている。この先も間違いない。一生聴き続ける。