2025年。
OASISが再結成し来日、ブライアン・ウィルソンやスライなど大物が相次いで亡くなった。
家では子供がミセスとかアイドルをけたたましく流しまくり、反動として自分の部屋では静かな音楽をセレクトしていた気がする。一方で、アルバムを聴く機会はだいぶ減り、BBCやAppleMusicのラジオを聴くことが増えた。というか、誰の曲かわからないクラブミュージックやジャズを聴いていた。
ただ、新しいアルバムを聴く機会は最近の中では多い年だったと思う。
振り返ってもとても良い作品が多く、圏外にも傑作だらけの一年だった。
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1. Panda Bear – Sinister Grift
ノア・レノックスことPanda Bearが2025年2月にリリースした7thソロアルバム。約6年ぶりの本格ソロ作で、自身のAnimal Collectiveの盟友Deakinと共に制作。電子音楽的な実験とオーガニックなアンサンブルが共存し、特に「Ferry Lady」は浮遊感のあるシンセと歪んだリズムが印象的なトラックとして先行公開された。アルバム全体はPanda Bearのソロ作として成熟した音楽語法と温かみを感じさせ、過去作からの進化と継続性を併せ持つ。
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日常に繋がるサイケ感が素晴らしく、圧倒された。何度も繰り返し聴いた名盤。今年の裏テーマはサイケかな。
2. Jeff Tweedy – Twilight Override
WilcoのフロントマンJeff Tweedyによるソロ/バンド作品。穏やかで深く内省的な歌詞と、アコースティックを中心にしたサウンドが特徴。長年のキャリアで培った歌心がソロ作でも遺憾なく発揮され、“Out in the Dark”は日常の光と影を織り込む詩的なトラックとしてリスナーに刺さる。weedyの声とギターの佇まいが、聴き手を静かに捉える一枚。
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ボリュームが凄い作品だが、繰り返し楽しめた。安定のソングライティング、グランジを通り越した声の良さは健在。ベテランの強さを感じたし、俺はこういうのが好きなんだと改めて。
3. Tobias Jesso Jr. – shine
トビアス・ジェッソ・Jr.の最新作。クラシックなピアノ主導のソングライティングが軸で、70〜80年代のポップ職人的な美しさがある。「Green Eyes」もその流れを汲む感傷的で美しいナンバー。リリース当初からPitchforkやBBCなどでも高評価を得て、ポップ史へのリスペクトと現代的な感性が交差する。全編を通して叙情性が貫かれているのが魅力。
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ソングライターとして大成功しているトビアスの久々の新作。良いメロディだけでなく、敢えて曲をぶっ壊すようなアレンジもあって只者じゃない雰囲気も良かった。
4. Tame Impala – Deadbeat
「Loser」は、ケヴィン・パーカーのシンセポップとサイケロックが融合した一曲で、近年のライブでも定番的に披露される人気曲の一つ。重層的な音像とゆらめくメロディが特徴で、Tame Impalaの代表的サイケデリア・ポップの文脈に位置づけられる。正式なアルバムとしては過去作『Currents』や『The Slow Rush』が知られるが、「Loser」はその流れを汲むシングル的な存在。ライブでの熱量も強烈。
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出処であるクラブシーンへの接近がなぜか評論家筋では嫌われ、低評価な一枚だが、俺はこれまでの作品がダメで、この作品だけが耳に入ってきた。10CCみたいな変態ポップメロが楽しい一枚。そんなにクラブっぽいかな?
5. Mac DeMarco – Guitar
温かみあるローファイ・インディロックの典型で、肩肘張らないギターと飄々とした歌唱が心地よい。日常の断片を切り取るような歌詞と、ユーモラスさとセンチメンタルを同居させる表現が魅力だ。DeMarcoの親しみやすさと音楽的センスが詰まった一枚。
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音色が素晴らしい!!細野晴臣の影響が濃いと言われるが、この雰囲気は確かに日本の和室を感じさせる。夏場にぴったり。湿気の多い音楽というか。
サニーデイの「MUGEN」に近いと思ったのは俺だけ?最高です。
6. Antibalas – Hourglass
ブルックリンを拠点にするアフロビート集団Antibalasの最新アルバム。ダンスビートとホーンが炸裂するアフロビート/ファンクの真髄で、政治的なメッセージ性と音楽的躍動感が融合する。タイトル曲「Lo Life」など、重厚なリズムと即興的なブラスが耳を引き、ライブでは必ず盛り上がるタイプの作品。Antibalasのキャリア屈指の強力盤と言える。
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キャリアの長いアフロビートバンドの久々の作品だが、抜けがよく、滅茶苦茶かっこよかった。フジロック、ヘブンでずっと演奏してほしい。
7. Of Monsters and Men – All Is Love and Pain in the Mouse Parade
アイスランド発オルタナティック・フォーク・ポップバンドの新作。シンセとギターが溶け合うドラマティックなサウンドスケープで、タイトル曲は日常と非日常の狭間を描くような叙情が魅力。ポップかつメランコリックな輪郭があり、リスナーを大きな世界へ誘う力を持つ。
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男女混成ボーカルでU2的に盛り上がるバンドで、ずっと良い作品を出し続けている。この作品も完成度が高く、じっくり楽しめた。
8. Tortoise – Touch
米ポストロックの重鎮。ミニマルに反復するビートとテクスチュアの重なりがエモーショナルなスケープを作る。音響的繊細さと構造的な楽曲展開はジャンルの金字塔として堅牢。音の細部を味わう楽しみが深い作品。
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トータス久々のアルバム。過去の流れを意識した曲が多く、既聴感のある曲もあったりするが、それも含めて楽しめた1枚。メタモルフォーゼの凄まじくサイケなライブが未だに忘れられない。
9. Franz Ferdinand – The Human Fear
フランツ・フェルディナンドの最近の作品では最も協力な一枚。ポスト・ポストパンク的鋭角ギターとキャッチーなコーラスが印象的で、バンドの力量の高さを示す力作。持ち味であるダンスビートと英国的な肌触りは濃厚に反映され、ダンスロックとしての魅力が際立つ。
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ロートルのイメージを払拭するキレッキレな一枚。エッジの効きまくったギターとフック炸裂のメロディがマジで最高。00年代の輝きを2025年に感じさせてくれるとは思ってなかったので、不意打ち的にやられた。ライブも見たかったな。
10. Hayley Williams – Ego Death at a Bachelorette Party
open.spotify.comParamoreのフロントウーマン、ヘイリー・ウィリアムズのソロ作。ポップ/ロックのダイナミズムと、ソングライターとしての成熟が際立つ一枚で、私的な感情と強いメロディが融合する。「Whim」はその一端を象徴するようなナンバー。表現の幅広さと歌唱力が光る。
正直パラモアをほとんど聴いていなかっただけに、この完成度にびっくり。ポップ・ロックとしての強度もあるし、ソロの親密さも十分に感じさせてバランス感覚の素晴らしさを感じる。ロックのかっこよさを今の音でしっかり鳴らしている。
おまけ。Cream – Goodbye Tour (Live 1968)
クラシックロック層の至宝、Creamのライブパフォーマンス記録。Eric Clapton、Jack Bruce、Ginger Bakerの演奏が爆発する1968年の記録で、「White Room」を中心にブルースとサイケロックが高い次元で融合。歴史的名演として再評価されている一枚で、ロック史に残る名演として今日でも語り継がれる。衝撃的な演奏力と3人の化学反応が詰まっている。
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某ロック評論家から教えていただいた作品。クリームやクラプトンのロック的な凄さを今までさっぱりわからずにいたが、この作品でようやくわかった。3枚目のぶっとび感がハンパない。もっと大騒ぎして良い大傑作ライブ盤。