solid bond

never a dull moment

Paul Weller – A Kind Revolution

2017年発表。ソロ13枚目。英国5位。

前作のセッションで残った2曲「Woo Sé Mama」「One Tear」はジャン・スタン・カイバートの共作で、他のクレジットはウェラーのみ。更に久しぶりにセルフプロデュース。マルチプレイヤーのアンディ・クラフツ(the moons)、ドラムのベン・ゴルドリエらお馴染みのウェラーチームが中心になってプロダクト。

セルフプロデュースの場合、質が落ちるアーティストもいるが(典型的なのがマッカートニー御大)、前作と同等、あるいはそれ以上の内容になっているのが頼もしい。
ソウル、R&B、ゴスペル等、自身のルーツにサイケデリックなエレクトロニック風味を加えた感じ。ドクター・ジョン的な雰囲気があるものも含まれていることから、スタンリーロード期の面影さえ感じられる。

アルバムは、成熟したお洒落なソウルナンバー「Woo Sé Mama」で幕を開け、この時点で成功を確信できる。「Long Long Road」はウェラーの十八番のソウルバラードで、スタンリーロード期にタイムスリップしたようだが、歌声はバージョンアップされている。「She Moves With The Fayre」はロバート・ワイアットが歌とトランペットで参加し、これもサイケ風味がブレンダンの音作りを思い出させる。「One Tear」はボーイ・ジョージが参加。同窓会みたいな賑やかさがあるファンクナンバーだ。「The Cranes Are Back」は洗練されたゴスペル。かっこいい。

政治的なメッセージは込められていないようだが、アルバム全体から混迷する世界への怒りも(なんとなく)感じられる。気迫と、ベテランとしての成熟、気概、一箇所に留まらない音作り、これらが高いレベルで融合している作品だ。
やはりサイモン・ダイン期の混沌、完成度の低さが勿体ないと思ってしまう。