solid bond

never a dull moment

This Time Tomorrow / Sleeper

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1999年から2000年にかけての、バンドが崩壊していた時期のレコーディング音源を、コロナの時期に完成させた作品。

ジョージ・マイケルのスタジオで作成された音源が含まれ、⑦「we are cinderella」では御大がコーラスで参加している。レコード契約が切れていたスリーパーに対し、ジョージは非常に寛大だったとのこと。

ブリットポップ期に出てきた中で、ソングライティング能力と演奏力が頭一つ抜けていたバンド。この作品も曲のクオリティが素晴らしく、アルバム1枚じっくり楽しめる。

不遇な時期だけに、全編に漂う達観した感がとても良い。


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Fantastic / Wham!

Fantastic

Fantastic

  • ワム!
  • ポップ
  • ¥1833

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1983年発売。いわずと知れたジョージ・マイケル率いるワム!のデビューアルバム。

デビューシングル「ワムラップ」はヒットしなかったが、トップ・オブ・ザ・ポップスへの代理出演(この時、バックダンサーにポール・ウェラーの夫人となるDCリーがいた)を期に2ndシングルyoung guns(go for it)がヒット。スターダムにのし上がった。

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改めてアナログで聴いてみると、ソウルやR&Bを土台とした非常に質の高いポップアルバムで、ワムラップやヤングガンズみたいな派手な曲だけでなくシティポップ的な雰囲気のアレンジもあり、デビュー当初からジョージ・マイケルって凄かったんだなと才能を再認識する。

A面を聴き終わって裏返してB面のアタマが「クラブ・トロピカーナ」。ビーチのワイワイした感じからリスタートするのが凄く良い。ただならぬワクワク感、83年にリアルタイムでこの作品を聴いたヤングガンズ達の気持ちとシンクロする。これはアナログじゃないと味わえないな。

当時のライナーノーツは大貫憲章氏が書いておりクラッシュとワムを比較してたりで面白い。「こいつらは本物のbad boysだ」と。アンドリューはともかく、ジョージ・マイケルは確かに本物だった。

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勿論全英1位、日本でも17位まで上がっている。

 

Power Corruption and Lies / New Order

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1983年のニュー・オーダーとしては2ndアルバム。

80年のイアン・カーティスの死から2年後の82年に製作された代表作のひとつ。キーボーディスト(ギリアン)をメンバーに加え、パンク・ニューウェイヴにクラブミュージックを加えた、今に続くニュー・オーダーサウンドを定義付けた一枚。

とはいえバーナード・サムナーの歌声には陰があり、後のニュー・オーダーのカラフルでポップなイメージとは大きく異る。サウンド的にもクラブ・ミュージックを纏っているが、パンクっぽい尖った感じが顔を出す。ジョイ・ディヴィジョンと「いわゆるニュー・オーダー」の間の子のような感じだ。

60年代ロックの雰囲気も引き継いだ非常にロック的な作品。「いわゆるニュー・オーダー」があまり好きでない人も虜にする「美学」を感じる素晴らしいアルバムだ。

 

The Campfire Headphase / Boards of Canada

The Campfire Headphase

The Campfire Headphase

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2005年に出た作品。確かその年の朝霧JAMで試聴会みたいなのが開催されていた。朝霧とか苗場とか、サウナの休憩タイムとか、チルアウトに最適なサイケデリックエレクトロニカ・アルバムだ。

音がキラキラ光りながら通り過ぎて、サーっとほうき星みたいな余韻を頭に残して、波のように押し寄せては消えを繰り返す感じ。酩酊状態でなくとも、リラックスした状態で聴けば現実から離れた世界に連れてってくれる。

個人的には、マイブラのラブレスと近い世界。

美しく儚い白昼夢。

 

この作品が出た8年後にハーヴェストというイマイチな作品を出してから名前を耳にしなくなったのが寂しい限り。

Wild Life / Wings

 

Wild Life

Wild Life

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1971年発表。「マッカートニー」から3作目の作品。ウィングスとしてはデビュー・アルバム。デニー・レインとの共同作業はここから約10年続くことになる。

2週間程度で製作され、デモテープのような粗っぽい演奏・アレンジが当時の評論家から批判され、チャート上もイギリスで10位以内を逃すなど、失敗作と位置づけられていたアルバム。ずっと低評価だったため、正直なところまともに聴いていなかったが、ポールの79歳の誕生日に合わせ、何回かリピートしてじっくり聴いてみた。

ソフトサイケとでもいうような白昼夢的なメロディとバンドの適当な演奏がうまくマッチして、インパクトは無いがリラックスして聴けるフレンドリーな一枚だ。

一方で、高い完成度を誇るビートルズの「アビーロード」が1969年、それから2年しか経ってない中で出された作品ということを考えると、ポールに同じレベルを期待する聴き手のガッカリ感は凄くよくわかる。それが必要以上の低評価に繋がったのだと思う。

あと、タイトル曲。このアルバムで一番出来が悪く、つまらない曲なのにやたらと長い。これがタイトル曲というのは相当痛い。このあたりが低評価の要因だろう。

 

このとき、ポール・マッカートニー29歳。何を考えていたのだろうか。

80年代以降のローリングストーンズのオリジナルアルバム

脚光を浴びる機会が少ないローリングストーンズの80年代以降のアルバムを振り返った。リマスタリングされた音で聴き直すと、どのアルバムも新たな発見とそれぞれの良さがあった。

 

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80年発表。前作「女たち」の成功を受け、更に多様な要素を加えた実験作。アルバムに統一性は無い。ミックの意向が強く反映された作品だ。うねる①、フックの効いた⑧など良い曲もあるが、アレンジでこけた⑤など、多くはいまいち。キースは⑩で気を吐く。6点

 

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81年発表。既存アルバムのボツ曲を編集した作品。統一感は無いが、代表曲となった①をはじめ、キース節炸裂の④、70年代な⑤、裏声がかっこいい⑦⑨、クールでメロディアスな⑧、佳曲が多い。ボブ・クリアマウンテンの編集技術が光る。今後もボツ曲期待。7点

 

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83年発表。時代に目配りした曲が多いが、消化不良。身内も評論家も低い評価。ジャケットのセンスも痛い。風呂上がりのようなキースの④が唯一の良心。ヘンテコな①は妙に頭に残る。4点。

 

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86年発表。ソロアルバムを巡り、ミックとキースの仲が最悪な時期。U2等を手掛けたスティーヴ・リリーホワイトのプロデュース。80年代っぽいドラムのサウンドに賛否が別れた。もっさりした印象だったが、リマスタリングされた音は悪くない。⑤⑩好き。7点。

 

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89年発表。 ミック・キースの復縁、勢いと疾走感あるアルバムの内容から復活作として大歓迎された。リズムが軽い曲が多く、良いが「薄い」感じ。ライブの定番①、これぞストーンズな②⑦、ギターの音が良い③、スロウな名曲⑨⑫等、再録したら良さそう。8点。

 

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94年発表。ドン・ウォズのプロデュース。以降の王道パターンを作った作品。冒頭3曲のパワーが弱くアルバムの印象が薄い。70年代っぽいキースの④、60年代っぽい⑤、美しいバラード⑨、心地よいアコギの⑩、キースのギターと歌声が楽しい⑭等が聴き所。7点。

 

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90年代の傑作。ストーンズぽさはあまりないが、完成度が無茶苦茶高い。疾走感と暑苦しさが混在している①、ドロドロした②、しんみりとしたメロディとミックの歌声が良い④、粋な感じの⑧、歌うギターが終わりを感じさせるキースの13等、名曲だらけ。9点

 

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05年発表。オリジナルでは最新作。タイトな演奏、練られたメロディ、ミックの歌も衰えず、傑作のひとつだ。疾走感ある①、既聴感ある③、B&B期的で粘りつくミックの声が良い④、ヴァーヴっぽい⑤、ストーンズ的ではないメロディの⑧等名曲が多い。9点

 

 

Blondes Have More Fun /Rod Stewart

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1978年の作品。ジャケットが象徴するように、一般大衆が求めるイメージにしっかり向き合い、ロックスター路線を貫いた代表作のひとつ。おバカなイメージで損しているが、しっかり作られた素晴らしい作品だ。

一曲目の「アイム・セクシー」はディスコ調で、時流に乗ってヒットした。

facesからのロックンロールな感じが、ディスコが絡んで更にロールした感じになり、アルバムに投資されるマネーも増えたことで曲の出来もロッドの喉も最高で、素晴らしい作品になっている。

この頃の生きた感じの録音、凄く好きだ。特に、お祭りの翌日的な雰囲気のB面三曲目「last summer」。キーボードの音色とロッドの声、アコギ、カーマインのドラムが(ロッドには珍しく)上品に混ざっている。日曜の夕方のしっとりした感じといえば伝わるだろうか。

 

The Art Of Tea / Michael Franks

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マイケル・フランクスは1944年生まれのなので現在76歳。カリフォルニア出身。オレゴン大学で教壇に立っていたこともあるというから、いわゆるインテリだ。

76年のこのアルバムは、彼の代表作の一枚であると同時にAORというジャンルを代表する作品のひとつだ。

1曲目、いきなり、キラキラ透明な感じな音で気怠いギターフレーズが刺さる。これはラリー・カールトンの演奏。随所で純度の高いぶっ飛んだギターの音を聴かせてくれる。他にもウィルトン・フェルダージョー・サンプルニック・デカロデヴィッド・サンボーンといったAORオールスターズなメンツが参加している。

おじさんたちの演奏も素晴らしいが、マイケルのオヤジな歌声と、ジャズ・ブラジル音楽等を昇華したソングライティングがキモ。インテリらしくスキがない。

日本のつまらないシティポップ等を圧倒的に凌駕する都会的な名盤だ。

Songs In the Attic / Billy Joel

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1981年に出たライブ・アルバム。タイトルは「屋根裏の曲」、ストレンジャー以前の眠っていた名曲をライブで生き返らすことを目的に編集された感じ。全米8位。プロデュースは勿論フィル・ラモーン

ビリーの絶頂期に近い時代なので、迫力ある演奏とグッドなメロディーが楽しめる

ベストアルバムに、このアルバムのライブバージョンが収録された「シーズ・ガット・ア・ウェイ」「さよならハリウッド」がやはりズバ抜けて良いかな。特に「さよならハリウッド」のドラムとサビ。これ、いつ聴いてもグッとくるというか、別のことをやっていても絶対耳と頭を集中させられる。感情が引っ張られるというか。ちなみにベスト盤のバージョンとは、ちょっと終わり方が違うので聞き慣れた耳に違和感があって、面白い。

この時期のビリーのボーカルは透明感と力強さが同居していて最高だ。

 

 

ハイ・フィデリティ

 

 DTVで5月末までハイ・フィデリティが観れることを思い出し、慌てて視聴。

10年ぶりぐらいに観た。レコード屋のシーンは大学時代を思い出す感じで楽しめたが、ジョン・キューザック演じる主役の男が何とも言えないダメ男でまじで最悪。しかしどこか自分を置き換えたりしてみてしまう・・・。

久々に見ると「なぜ急に元鞘なのか?」などストーリー展開が理解できないが、最後のジャック・ブラックの活躍に「まあいいか」となる。そしてエンディングの「I Believe」の説得力・・・。

また10年後に観ようと思った。DTVありがとう。

Phil Spector Presents The Phillies Album Collection

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コロナで亡くなったフィル・スペクターのフィレスレーベルでの仕事を集めたコンピレーションアルバムで、CDでは7枚組のマニアアイテム。気軽にストリーミングで聴けるのはホント良い時代になったと思う。

爆音で聴く程カッコよさが増す。音の厚みが凄くて、聞き手の脳みそを圧倒的パワーでひっくり返すような感じだ。ぶっ飛んでいる。

もちろんオールディーズポップスとしてBGM的に流しても十二分に楽しめる。

音楽以外では相当やばい人だが、変人だからこそ作れた異次元ポップスだ。

Reason To Live / Lou Barlow

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すっかり見かけはヒッピーというか世捨て人になってしまった、ダイナソーJr、セバドーのルー・バーロウ

6年ぶりのソロアルバムは相変わらずの雰囲気。つまり90年代的な宅録・ローファイだ。とんがった感じはなく、優しいメロディーと柔らかなギターの音に包まれる感じ。曲はどれも凄く良い。まさしく、「オルタナ最強の生き残ったメロディメイカー」だな。生き残った、というのが重要です。

「家族生活と音楽活動を結合するのに初めて成功したレコード」と本人が語っているが、正直何のことかわからない。タイトルや優しい感じがそういうことなのか。

ともかく、見た目と違ってバランスがとれた人となりが伺える良い作品だ。

Asleep In The Back / Elbow

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2001年の5月発売、エルボーのデビュー・アルバム。20周年記念でデラックス・エディションが出た。

久しぶりにじっくり聴いてみた。ゆっくりとしたテンポの中で、若干サイケデリック、基本はメロディアスな正統派ギターロックが高い完成度で鳴っている名盤だ。ここまで名曲揃いのアルバムとは思わなかった。1曲目のany day nowの印象が強くて、「初期ピンク・フロイドを2000年代に蘇らせたバンド」というイメージでいたが、もっとソングライティングに重点を置いたバンドだった。

アルバムはこれを含めて8枚出ている。ゆっくり聴き込んでみようと思う。

Music From Big Pink / The Band

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the bandの代表作。

この作品、レコード・コレクターズ界隈では「神アルバム」の扱い。

ずっといまいち分からずにいた。雰囲気とか曲とか、良いのはわかるが、アルバム全体のヌルい、だるい感じが、自分にはどうも合わなかった。

改めてしっかり聴いてみると、スロウな曲でのベースの動き・ファルセットを多様した歌声があまり好きではないことが分かった。ただ、酒ガンガン呑んだり、キャンプで聴いたりするとこの裏声と遅緩した感じの雰囲気がぐっとくるんだよな。そう、フジロック・ヘブンでのガース・ハドソンのライヴは最高だった。自分の人生のライヴ10本に入る。

そんな訳で未だによくわからないアルバム。今朝はBOSEブルートゥーススピーカーで聴いたが、低音が強調されドラムとベースの絡みがかっこよかった。

Odelay / Beck

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言わずとしれた96年を代表するアルバムなんだが、ちょっと影が薄くなっているような気がする。この作品以降も優れた作品をベックが出し続けているからか。また、ライブ演奏でアップデートされた曲に比べ、アルバムはちょっと迫力に欠ける感じ。「90年代後半の音」が消化されまくり、一番ネガティヴな影響を受けているのが、非常にバランスの取れたこの作品なのかもしれない。

発売当初は正直良さがわからず(メロウゴールドは一発で好きになったのに!)買ったのにしばらく放置していた。聴くようになったのは、渋谷陽一と、同級生でクイーン好きの桜庭君がプッシュしてくれたからだ。

ウチのアナログはA面が無茶苦茶音飛びしているんだが、そういう音のようにも聴こえる。