solid bond

never a dull moment

僕は熱心なマッシヴのリスナーでは無い。アルバムは前作しか持っていない。基本的に機械音中心の音楽って、進んで聴いていく音楽嗜好では無い。そんな僕にとっての、マッシヴやポーティスヘッドあたりの聴き方ってのは、如何に現実的ではない世界観がそこでしっかり存在しているかどうか、ってことに尽きる。例えば、ポーティスヘッドを聴くってって事は一本の映画を見るのと一緒だ。マッシヴにはそこまでのシアトリカルな要素は存在しないが、そうね、死語かもしれないけど、マッシヴには常に未来的な音像世界を期待している。ビデオクリップが常に素晴らしいのも、きっと「音」が「像」を呼ぶ音楽だからだと思う。

今回のアルバムは、ほとんど3D一人で作ったらしい。今までの3人での製作体制で、どのようなコミュニケーションが存在していたか、例えばリズム担当が誰で、メロディが誰で、ってことがあったのかどうか、僕は知らないけれど、前作よりも「美学」が突きつけられている感じがする。
3Dと言えば反戦活動で有名であり、やはりマッシヴの中でも自分の意見(=美学)を強く持っていたヒトだったんじゃないかと思う。結果、複雑な音楽的要素は薄れて、非常に聴きやすい音楽になったんじゃないか、と僕は思う。先に述べた「世界観」も、美学が表立っていることと相俟って、非常に伝わり易いものになっている。メロディーもかなりポップになってる感じがするんだよね。そして、ストリングス系の音を使ったアレンジが多いのも今作の特徴だろう。音の使い方はレディオヘッドの「ピラミッド・ソング」を思わせる。あの曲の幽玄な雰囲気が好きなら、絶対気に入るアルバムだと思う。

ヴォーカルにはシニード・オコナーらが参加。僕はこのアルバムを2003年のベスト10の中に入れた。凄い完成度。鳥肌モノです。