solid bond

never a dull moment

 このバンドについて語る際、引き合いに出されるのが友情」なのだが、僕はそれが凄く嫌だ。「スカー・ティッシュー」のギターソロを聴いて、「ああ!!この単音ソロすげえ!!フリーのベースとの絡みが友情を感じさせる!」
なんてアホな音楽の聴き方をするヒトはいないでしょう。「友情」のようなバンドの音楽性にとってあまり意味の無いことが大いに語られてしまうのは、フロントマンであるアンソニーのキャラクターの弱さにあると思うのだが、どうだろう。

 このバンドは3対1のバンドだと思う。チャドとフリーのリズム隊が土台をキッチリ作り、アンソニーが崩さない歌を乗せる。この3人がバンドの骨格。
そこに異物がブチ込まれ、特徴のあるサウンドになる。ジョンやナヴァロはバンドの触媒だ。
 生来のファンクなフリーのベース、どんなリズムにも合うチャドのドラム。しかし、このノリの良いリズム隊に絡みつくギターは、リズムを更に躍らせるモノではない。ジョンもナヴァロも、サウンドのもう一方の核とは、見てい
る方向が違う。それが非常に面白い。よく言われていることだが、「男性」バリバリなリズムに対し、非常に女性的なギターサウンド、ハーモニーが絡む。アンソニーの特徴のあまり無い歌は、その二つのバランスを保つために必死に頑張っている。彼の声が無かったら、ここまで多くの聴き手を得るまでに至らなかったと思う。

 こうやってまとめて聴くと、「サック・マイ・キッス」や「ハイヤー・グラウンド」あたりは非常に古臭く聞こえる。リズムの消費ってのは早いなあ、と思う。
「アンダー・ザ・ブリッジ」「スカー・ティッシュー」あたりのメロディー重視の曲はホント素晴らしく、これからさきもずっと歌い継がれていくだろう。特に「スカー・ティッシュー」の演奏はバンドの極みだ。この曲でのジョン・フルシアンテのギターソロは、何度聴いてもノックアウトされちまう。全ての(全てのロックの)ギターソロの中で一番好きかもしれない。