solid bond

never a dull moment

ivy/In the Clear

In the Clear

In the Clear

オリジナルアルバムとしては久しぶりの新作。このグループの中心は、ファウンテインズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャー。前作との間にFOWの大ヒットがあったためivyがどうなるのか気になっていたが、ivyらしいいなたさを残したまま、少し高い服を着て帰ってきた感じだ。

ivyは非常に日本の渋谷系(古いけど)的なセンスを持っている。過去に聴いてきた音の宝箱から、自分らのセンスに引っ掛かったものをミックスして作り直している感じ。このユニット、今はNYに活動の拠点を置いているそうだが、タヒチ80やエール、フェニックスといったフランスのアーティストに近い感じだ。そういえば、ヴォーカルのドミニクはフランス出身だな。

今回のアルバムは、80年代のギターポップ的なメロディーと90年代初頭のシューゲイザー的なサウンドが、非常にポップなベクトルに向かって混ぜ合わされた感じになっている。一曲目のライバルはくるりの「LV30」か。重層的なギターの音ではなく、全体的なサウンドの雰囲気でシューゲイザー独特の靄のある雰囲気を作り出しているのが上手い。女性ヴォーカルのアンニュイな感じや音の録り方が、サウンドを高級な所へ持っていかず、かろうじてインディーポップな場所へ留めている。しかし、ここがこのアルバムの評価を分ける難しい所だろう。中途半端に映ることもあるかもしれない。僕としてはこの完成されすぎてない緩い感じが、まさしくivyの持ち味だと思っている。FOWの大ヒット作のようなメジャー感漂う作品を、作ろうと思えば簡単に作れたはず。しかしivyという場所でそれをせず、かろうじてB級を維持した本作の方向性を僕は支持する。