solid bond

never a dull moment

Emoh / Lou Barlow

Emoh

Emoh

フォーク・インプロージョンの映画絡みのヒットから、一時混迷、ようやく最近になって作品にかつてのキレが戻ってきたルー・バーロウ。言わずとしれた元ダイナソーJRのベーシストであり、セバドーで名を馳せた90年代を代表するソングライターだ。久しぶりの新作は個人名義での発表となった。最近ではセバドーもフォーク・インプロージョンも同じような音になっていただけに、ルーの中でかつてはあった拘りが無くなったのだろう。

ルー・バーロウの作品の中では最もストレートな作品。音が凄く乾いていて、それでいてメロディーは湿った感じで・・・というルー・バーロウ独特の世界はこのアルバムでも健在だ。冷たい空気で頬を切られてそこから流れる血の温かさ、そんな雰囲気。アコギ中心で間口が広く誰にでもオススメできる。その一方でロック的なスリルは薄れた。セバドーの「ハーマシー」あたりで顕著だった、90年代の日常を反映したようなゴタゴタしたリズム・グランジ的な嫌世感は、作品の完成度・充実度が上がることで消えてしまった感じがする。

凄く真っ当な作品。ルーの沢山ある作品の中でも3本の指に入る傑作だ。自分の持ち味を生かしたまま、作品の質は古典的に良い方向へどんどん向かってきている。音楽的に凄く良いキャリアの進み方をしているのではないか。