solid bond

never a dull moment

2021年 俺awards

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コロナの影響下にあった2021年。

シーン全体としては、シルクソニックジョン・メイヤーなど、過去の素晴らしい音楽の再構築が楽しかった。11月のビートルズ「ゲット・バック」もその動きを加速させそうな気がする。

ジャック・アントノフが中心となった女性シンガーソングライターの動きも目立った。ただ、作品として「普通に良い」レベルで、数年後に大きなムーブメントとして評価される感じじゃないかな、と思った。その中で、クレイロは声やソングライティングの能力が抜けている感じがした。カリスマは無いが。

 

個人的には聴く音楽の幅が広がった一方で、過去の膨大な音楽も含め、自分に合わないものを無理して聴かなくなった。最近のヒップホップや派手なR&Bはほとんど聴かなかった。80年代モノやソフトロック、ソウル、クラシカルR&Bジョージ・ハリスン界隈を聴くことが多かった。

 

CDの良さを再認識したのも今年の「俺重大トピック」のひとつ。

世はレコードブームで、俺もレコード針を新調し何度か聴いてみたが、レコードの状況に左右されすぎて、音の悪いモノは我慢できない。音が良いとかってのは、それなりのレコードをそれなりの環境でしっかり鳴らさないと多分感じることはできない。じっくり、ゆっくり音楽を楽しむのには適しているかもだが、正直めんどくさいと思った。デカいジャケットはかっこいいが。

その点、CDは、傷とかなければいつでも同じように音楽を楽しめる。80年代のCDのはマスタリングとかに問題があって酷い音のものもあるが、全てのCDである程度の音質が確保されている。

CDケースをソフトケースに移し、「棚からひとつかみ」しやすくしたら、CDを楽しむ時間が増えた。気軽に良い音を楽しめる。レコードブームの一方で、俺みたいな人もけっこういるんじゃないかな。

 

とうわけで、俺の今年のアルバム8枚です。あえてアルバム単位で楽しめたものを選んでいます。

結構長く「俺アワーズ」をやってるけど、これまでで一番自然体で選べたと思います。

 

 

 

8位  It Won't Always Be Like This/Inhaler


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U2のボノの息子を中心にしたアイルランドの「ロックバンド。

デビューアルバムは見事全英1位を獲得。

シンプルでメロディアスな普通のロックを熱を込めて演奏する、前時代的なバンドだが、その潔さが気に入った。このアルバムが頂点にならないよう、これから数十年一線で活躍してほしい。

 

7位 Sling/Clairo


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2019年のデビューアルバムに続くセカンド。

ビルボード17位の大ヒット。

ブリーチャーズのジャック・アントノフが音作りの中心。ジャックのプロデュース作品の中でも最もフォーキーで穏やかな作品だと思うが、クレイロの透明感のあるヴォーカル、美しいメロディの良さを前面に押し出し、素晴らしい作品に仕上げている。

ジャックは自分のユニット、ブリーチャーズの新作の他、ロード、ラナ・デル・レイテイラー・スウィフト、セイント・ヴィンセントらの作品のプロデュースもしていて、ほとんどが成功している。今年はジャックの年ともいえる。

 

6位 Untourable AlbumMen I Trust


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モントリオールのエレクトロポップバンド。5枚目の作品。

ロックダウンの最中に作成されたということで、いつも以上に穏やかで、それでいてポップな作品に仕上がっている。

日本では業界人を中心に人気。隙がないほどオシャレだ。「かつての渋谷系」の皆様に捧げたい。

 

5位 The Nearer the Fountain, More Pure the Stream Flows / damon albarn


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2014年のeveryday robots以来、久々の作品。元々アイスランドで景色からインスパイアされたオーケストラとの共演作を作るつもりだったが、コロナの影響でアンビエントな作風のフルアルバムに発展した。全英7位。

厳選された音を絶妙に配置した繊細なアルバム。デーモン・アルバーン独特の毒は感じられない。極寒のクリーンルームの中で演奏されているかのような感じ。キャリアを極めた人にしか作れない作品。

デーモン・アルバーンの評価を更に高める傑作。まだまだ凄い作品を作ってくれそうだ。

 

4位 Sweep It IntoSpace / dinasour jr.


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12枚目の作品。当初2020年に発売される予定が、コロナの影響で発売が延期となった。

親交が深いカート・ヴァイルが12弦ギターとプロデュースで参加。

ベーシストのルー・バーロウが2曲を提供していて、存在感を放っている。

シカゴの雑誌のレビューで「バージョン2.0の最高作」と評しているが、同感。いつもどおりのダイナソーでありつつ、ありえなかった「緊張感」を感じる。曲の出来もキャリアハイ。ルー・バーロウが良い曲を書いてきたので、Jもうかうかしていられなくなったという感じか。

この完成度、今年嬉しかったサプライズのひとつ。

 

3位 Sob rock / ジョン・メイヤー


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コロナ影響下で「子供の頃影響を受けた音楽に敬意を表し」作られた作品で、音楽もマーケティングももろに80年代で賛否両論あったが、俺は無茶苦茶好き。全米2位、全英4位。日本でもオリコン23位に入った。

80年代独特のキラキラしたサウンド。不快感を感じさせたり、過剰な音は一切入っていない。ミュージックビデオを初め笑える要素が多分に含まれていて、凄く「ほっとさせてくれた」アルバム。

ほぼ同世代なので、こういう作品を作ったり、グレイトフル・デッドとツアーをしたりという活動の振れ幅にも凄く共感できる。

 

2位 Justice / ジャスティン・ビーバー


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カナダの世界的スターの6枚目の作品。時代のど真ん中のサウンドに、素晴らしいメロディーと歌が載っかった素晴らしい作品。

昔だったらまず無視しているエリアの音楽だが、ジャスティン・ビーバーの振る舞いなども含め、今やこのあたりが「ロックど真ん中」なんだと思う。

今年を代表する1枚だ。

 

 

1位 An Evening with Silk Sonic / Silk sonic


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ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによる今年最強のユニット。大ヒットしたleave the door openを初め、メロディアスでポップなクラシカルR&Bが最高だった。ノスタルジックで豪華で楽しい大傑作アルバム。全米2位。1位はテイラー・スウィフトのREDの新バージョンだった。

ジョン・メイヤーもそうだが、「輝いていた過去」を再現するような作品が多かったのはやはりコロナの影響か。メロディ回帰の流れも起きている感じがする。