solid bond

never a dull moment

アメリカの良心、ウィルコ久々の新作。「ヤンキー・・・」がヒットし、評価が高まってる状況なので、シーンと創造性のバランスをどう取ってくるか非常に気がかり、というかかなり不安だった。

基本的には「ヤンキー」の良い所と、ジェフとジム・オルークらのユニット「LOOSE FUR」の音を混ぜ合わせたような作品になっている。相変わらずジェフの歌声は切なく、気だるくかっこいい。メロディーはホントに儚くメランコリックだ。このあたりのロック的な整合性に、少しのズレも無くジャストなのがウィルコの凄いところだと思う。気になっていたバランスだが、正直延々とギターソロが続くあたりはとっつきにくい。前半はそういう曲が多い。しかし、中盤以降は多彩なアレンジと音の響き合いが素晴らしく、非常にポップだ。前作より更に音響的な方向に向かっていると思う。「KAMERA」のような誰が聴いても素晴らしい、という感じの名曲は無いが、曲の流れと音の気持ちよさは前作以上だと思う。

カート・コバーンがもし生きていたら、今頃きっとこんな音を鳴らしていたんじゃないか。ジェネレーションXという言葉はウィノーナ・ライダーと一緒に消えてしまったが、ひとつの世代の代表として、鳴らされるべき音をこのバンドはしっかり理解し表現していると思う。94年4月5日を覚えてる人間は是非聴くべきだ。