solid bond

never a dull moment


「CM」は、コーネリアスが他のアーティストの作品をリミックスしたモノを集めたアルバム。これは二作目にあたる。ブラーやタヒチスティング、モービーといった、良く知られたアーティストの曲がたくさん入っている。

アルバムを通して聴けば、コーネリアスが既にひとつの型を完成させていることがわかる。非常にシンプルな音を、残響感を大切にして丁寧に重ねていくやり方。「POINT」はその集大成だ。ただ、「POINT」は、残響音の中心にあるメロディと小山田の歌が単調で、僕的には折角の音世界を吸収しきることが出来なかった。このリミックス集はそういった意味では、僕のような半端な聴き手には最適で、飽きずに小山田の構築する気持ちいい音世界を堪能できる。

やはりブラーの「TENDER」が極上の出来だ。原曲にあった荘厳な雰囲気は無くなったが、歌をシンプルに切り取り、音の宝飾を新たに施すことで、どんどん昇ってそのまま天へ行ってしまいそうな、軽やかな気品を持った歌に生まれ変わった。

「POINT」やこのアルバムを聴いていると、最近の小山田は毒や汚れを排除した音作りに躍起となっている感じを受ける。コーネリアス名義での初期の作品にあった、シニシズムからの皮肉や照れ、バカにしたような引用が、ここのところ見当たらない。30を越え、やはり大人になって、自分に自信を持つようになってきたということだろうか。リミックスなんてぶっつけ仕事のような気がするのに、このアルバムにおさめられた作品に明らかな遊びは無い。いたってマジメ。

しかし、あまりにマジメな仕事ぶりに、背中を蹴りたくなる瞬間がある・・・。