solid bond

never a dull moment


コールドプレイのライヴ、一度だけ生で見たことがある。第1回サマーソニック、富士急の小さなステージだった。大きな体のくせに、非常に軽いフットワークでステージを右へ左へせわしなく動くクリスがとても印象的だった。バンドの演奏は非常にタイトで、ザラザラしたギターの音が心地良かった。いいバンドだなあ、と思った。

この「Live2003」は三ヶ月限定生産、シドニーのライヴを収録したもの。きっと大きな会場だったんだろう。残響音がけっこうある。それでなのか、凄く緩い音、という印象を持った。コールドプレイの2NDが向かっていた音は、80年代のギターバンドの音じゃないかと思っているんだが、このライヴ盤は、彼らのステージも、80年代的なビッグな音になっていることを証明しているんじゃないかと思う。タイトな音でカラダを揺らせながら合唱してたのがサマソニでの演奏だとすれば、ここでの演奏は、「この場で、コールドプレイの演奏を聴けて幸せだ」という幸せを噛み締めながら、残響音のユラユラした音に合わせて体を揺らせつつ、クリスとの一体感を求めて合唱する、というもの。ビッグなバンドになったんだなあ、と思う。

ということで、DVDならともかく、CDで、音だけを聴いて楽しむのは難しいんじゃないかと僕は思う。凄く遠くで演奏しているように聴こえる。
オリジナルアルバムを聴いたほうがずっといいだろう。バンドの演奏も特筆すべきインタープレイなどは無い。クリスも歌は上手いが、「このシャウト、鳥肌もんだ!」なんていう瞬間は無い。「イエロー」の大袈裟なイントロには嫌気が差す。

オアシスやレディオヘッドといったバンドのライブ盤は、凄く楽しむことが出来たのに。それぞれのメンバーの強い個性で売っているわけじゃないことが、コールドプレイの弱さか。アルバムで完成された音を聴く分にはいいのだが。