solid bond

never a dull moment

スーパーグラスは、一貫して、風化しないロックを鳴らし続けている素晴らしいバンドだ。出すアルバム全てが素晴らしいアルバムなんだけれど、代表作を一枚選べと言われたら、間違いなく97年発表のこのアルバムだろう。

様々な要素が散りばめられていた1ST。そこで生まれた聴き手の期待をどのように処理するか。大抵のバンドはこの命題を超えることが出来ずに1STのヒットのあとで低迷、消滅する。逆に、その命題をクリアし、セカンドアルバムで飛躍を果たせれば、実力派バンドの仲間入りを果たすことが出来る。スーパーグラスもこの2NDアルバムで実力を証明することに成功した。派手で騒々しかった1STから、「サタニック・マジェスティーズ」の頃のストーンズのようなサイケ感を持った「GOING OUT」への変化。ここまで幅広い音楽性を持った奴らだったのか、僕はホントに驚いた。
 ロックの「だし」を思い切り効かせたアレンジの多彩さと、創造を的確に表現できる演奏能力が高いレベルで交わっているのが、このバンドの素晴らしい所だ。しかもそれが「これ見よがし」に突きつけられる事がない。また、胡散臭さとかシニシズムをあまり感じることも無く、スパーンと突き抜けた感じがする。このアルバムを貫く雰囲気は、イギリスのバンド独特のどよんとした曇天なのだが、何故かそこに雨がふりそうな雰囲気は無い。過剰な湿り気が無い。うまく説明できないが、このアルバムの賞味期限の長さは、そのあたりの、触りのよい感じに原因があるような気がする。

あまり実生活のイメージがわかないスーパーグラスだが、おちゃらけたマス・イメージとは相反し、めちゃくちゃクールな奴らなんじゃないか。このハンサムなアルバムを聴いているとそう思う。愛聴盤です。