アイラとジェームズを中心とした、40年近いキャリアのベテランオルタナギターバンド。時間帯もよく、ヘブンにぎっしりヒトが集まった。夕暮れの雰囲気もバンドの音にあってて、開演前から良い感じになりそうな雰囲気が凄かった。90年代後半からのリスナーはヨラのキュートな部分を愛でているヒトが多いと思うが(俺も好きです)、オルタナギターロックのパイオニアのひとつであり、ヴェルヴェットのセカンドあたりの影響が最も強く、今回も冒頭からディストーションを聴かせたギターでアイラがガンガン飛ばしていった。ただ、全体的にはポップな感じになるから面白いし、それがここまで愛されている理由の一つだろう。とても良かった。移動もあって前半で切り上げたが、Autmn SweaterとかYou Can Have It Allあたりのみんなが聴きたいヤツもやったのかな?
アルバムには、いくつも佳曲が収められている。特に「Devil With The Green Eyes」は、ドラマティックなメロディと劇場的な展開が印象的で、代表曲となった。また、「Time Capsule」は、メランコリックなメロディと共に耳に残るリフが響く名曲。「Someone To Pull The Trigger」は、アニメのエンディングテーマのような幻想的で終末感のある曲で、アルバムのハイライトになっている。
「The Boy With The Arab Strap」は、60〜70年代のソフトロックの影響を受けながらも、独自のアレンジと繊細なメロディで1STアルバムの世界観を深掘りしたアルバムだ。UKチャート11位まで上がり、ベルセバは立ち位置を確保した。 また、このアルバムではバンドとしての成長が見られた。これまでの2枚のアルバムは、スチュワートのソロ的な要素が強かったが、このアルバムからバンドとしてのBelle & Sebastianが本格的に成長し始め、スチュワート以外のメンバーの存在感が大きくなった。特に、初期メンバーの中で絶大な人気を誇ったイザベルは「Is It Wicked Not To Care?」をソロで歌い、「Sleep The Clock Around 」「The Rollercoaster Ride」ではスチュワートと闇を感じさせるデュエットを披露した。スティービー・ジャクソンも「Seymour Stein」「Chickfactor」で洒落たセンスのボーカルを担当し、スチュワート・デヴィッドもクールな演奏が素晴らしい「A Space Boy Dream」で素朴な語りで存在感を示した。
2017年の朝霧JAMで彼らのライブを観た。アルバムのタイトル曲「The Boy With The Arab Strap」では、観客がステージに上がり、ステージ全体に一体感が生まれ、やたらと盛りあがった。それもあって、この作品はサークル的な連帯感や多幸感を強く感じさせる。