solid bond

never a dull moment

Live In Japan (UK)

Live In Japan (UK)

中学・高校の頃に一度は必ず通る道、それがディープ・パープル。最近はどうなのかわからないけれど。最近はロックンロールと共に純粋なハードロックも前線復帰している感があり、ハードロックの雛形を作り上げたといえるディープ・パープルも再考する必要があるんじゃないか。

なんてね。深い理由も無く、久しぶりに聴いてしまいました。パープル。

チープ・トリックとともに「ブドーカン」を世界に知らしめた72年のライブ盤。テープで聴いてた高校の頃と同じように、燃え上がるもの(BURN)が心に生まれた。火がついた。炎のようなリッチーのギター、地をうねるようなロジャー・グローバーのベース、そして天へ届けといわんばかりのイアン・ギランのシャウト。これ以上何が必要だというのだろうか?!って感じで、ハードロックは「炎」とか「燃える」とか大袈裟な言葉で表現したくなる。これも様式美ってヤツだろうか。
 
 正直今、マシンヘッドやイン・ロックを聴いても10分で聴くのをやめてしまうだろう。消化しつくされた感じがある。ディープ・パープルのスタイルはあまりに拡大・縮小の再生産をしすぎた。 しかし、このライヴ盤は別格だ。圧倒的にダイナミックで、バンドが生きている感じがする。目を見て演奏が進行する、ライヴのお手本。以降は定型でつまらなくなるリッチーのギターも、この盤では凄くエキセントリックで、ハズシと王道を行き来し、華がある。一曲目ハイウェイ・スターの、音が塊になって迫ってくる感じはバンドの一つの理想だ。2曲目チャイルド・イン・タイムはこのライブのハイライトで、静と動を作り出すジョン・ロードのキーボードがかっこいい。
 今聴けば、どのあたりがハードなのかってのは良くわからない。もっとハードな音はいっぱいある。ただ、ここまで華がある演奏はそんなに無い。そして凄く娯楽的だ。面白い。そう、プロレスを見ているようだ。お互いがお互いの反応を見ながら得意技を掛け合う。それが進むと「様式美」になってしまうんだろうけど、この時期のパープルには、以降のハードロックには無い「粋」な感じがあって、それが寿命を長くしている要因だろう。
 パープルの変わっているところは、ブルースが下地にあるはずなのに、それをまるで感じさせないところだ。ポップである、といえるのかもしれない。後の「様式的ハードロック」もほとんどのバンドがブルースを感じさせないのも、ディープパープルの影響なのではないだろうか。
 とにかく、コレは今聴いても充分面白いライヴ盤。時代やジャンルを越えて生きていくべき名盤だと思う。