JAMES BLAKEの新作「Playing Robots Into Heaven」。
作品毎に顔を変えてくるアーティストだが、今作は、相変わらずカット&ペーストされまくっているウタが前面に出ていて聴きやすい。
ルーツ回帰のクラブサウンドに寄った作品だと言われている。何となくわかる。踊れそう。「Tell Me」、かっこいい。
JAMES BLAKEの新作「Playing Robots Into Heaven」。
作品毎に顔を変えてくるアーティストだが、今作は、相変わらずカット&ペーストされまくっているウタが前面に出ていて聴きやすい。
ルーツ回帰のクラブサウンドに寄った作品だと言われている。何となくわかる。踊れそう。「Tell Me」、かっこいい。
177 夏ウタ特集! - Beat TERAO radio | Podcast on Spotify
The Beach Boys - California Girls - Remix/Remastered 2001
Summercamp - Nowhere Near
Grandaddy - Summer Here Kids
Red Hot Chili Peppers - Scar Tissue
The Lovin' Spoonful - Summer in the City - Remastered
The Mamas & The Papas - California Dreamin' - Single Version
Vampire Weekend - This Life
Jack Johnson - Rodeo Clowns
Eagles - The Last Resort - 2013 Remaster
Linda Ronstadt - Lose Again
American Football - The Summer Ends
77年発表。
カリフォルニア生まれのセシリオ・ロドリゲス(人間的には・・・)とガチハワイアンなヘンリー・カポノによるユニットによる3作目。
ロサンゼルス録音。いかにも西海岸なサウンド(ウエストコーストロックの末期だ)とハワイアンらしい緩くてセンチメンタルな感性がシナジーを生んで、他に無い雰囲気の優れた作品になっている。ハワイの朝焼けか夕焼け?が美しいジャケットの良い感じそのまま。
4曲目「we're all alone」はAORのキング、ボズ・スキャッグスの名曲のカバー。まるで自分たちの曲のように「らしく」カバーしている。
ハワイアン・サーフ・ミュージックとAORの間の子のような傑作。
夏が終わりかけのタイミングに聴くとぐっとくる。この時期の海は良いんだよな・・・。
The Strokes - 12:51
Blur - Best Days - 2012 Remaster
Wham! - Club Tropicana - Balearic Breeze Remix
Fatboy Slim - Ya Mama (Push the Tempo) - Moguai Remix
Stardust - Music Sounds Better With You
The Chemical Brothers - Live Again (feat. Halo Maud)
The Rapture - How Deep Is Your Love?
The Jesus and Mary Chain - Blues From a Gun
「コロナ明けのフルバージョンフジロック」と銘打たれた今年!昨年のフジロックがかなりがっかりな感じ(卒業を検討させるようなレベル)だったので、今年も駄目だったら来年は無いかなと思ってたが、各ステージの充実ぶり、導線や休憩所の整備により、フジロックの再生をがっちり感じることができた。要は相当楽しめた。天気が良かったってのが一番の要因かもだが。
家を6時半に出発して、道中で昼飯(やまいちや本店。950円のカツ重には蕎麦もついてきてコスパ最高だった。)を食べて12時過ぎに会場に入った。
正直、それほど期待してなかったが、土屋アンナの常人離れした体格にびっくりした(頭小さい、胴体短い、手足は長い)。パフォーマンスも、やたら威勢がよく元気が出た。ブロンディのカバーが合ってたな。翌日は富士吉田のイベントに参加してて姐さん働きまくってる。
締めの曲はレッド・ツェッペリンの「ロックンロール」。奥田民生がレス・ポールに持ち替えて「これでもか!」という勢いでガンガンコピーしてるの見たら、まるでジミー・ペイジが生き返ったみたい(亡くなってない)で面白かった。民夫はホントにロックが好きだな。ボーカルもほとんど民夫で、裏声を駆使しプラント節になっていて、まさに一人「ペイジ&プラント」。例の和田氏との絡みでちょっと民生離れしてたが、これだけロックが好きでエネルギーに満ち溢れた演奏を聴かせてもらえれば、再リスペクトせざるを得ない。またソロ作聴き直そう。
ちょうどド・ピーカンな時間帯でモッシュピットはクソ暑かった。終わって速攻ビール飲んだが、列の長さにびっくりした。ビールはほとんど待ち無し、ポカリスエットブースはそれより5倍以上長かった!ビール買ってるのはオッサンばっかりだった。若者の酒離れってやっぱり深刻なのかな?ノンアルでフェス(音楽)を楽しもうって雰囲気を感じた。
今年のフジロックが現金使えないって話だったが、この後通信異常が発生しキャッシュレス決済は最初のビールだけで終了。現金持っていて良かった。
フィールド・オブ・ヘブンの司会、ジョージ・ウィルアムスも「最近よく聞いている」って言ってた、大編成のアフロ・サイケデリックバンド。大勢集まっていた。早々にブラスの迫力満点の音が鳴り響き、まるで悪役レスラーが登場するみたいな感じだった。アルバムよりも全然ライブの方が良い。生音の迫力に引き込まれた。暑苦しいフジロックにピッタリはまってた。途中で雨が降り出し、4曲ほどで切り上げた。
雨が降ってきたので、アヴァロン隣のハンモックスペースへ逃げ込む。木がある程度雨をガードしてくれた。30分ぐらい、途中結構激しく降った。この日の雨はこれだけ。
で、雨上がりにホワイトに降りるとかなりのヒト。近くのヒトが「STUTSだから当然これぐらい混むわな」と話していたのでどんなもんかと覗いてみた。全然知らないアーティストで曲も分からなかったが、メロウな感じの音が雨上がりのホワイトにドンピシャ、もちろんホワイトだから音が素晴らしく、最高のステージになった。STUTSも面白いパーソナリティ。ラ・サール中高から東大という凄まじい学歴を持つMPCプレイヤー・トラックメーカーで、ゲームセンターあらしみたいにMPCのパッドを叩きまくるのが良かった。
アヴァロンにて。GOMAや山本精一と一緒にやっていたドラマーを中心としたエクスペリメントなジャズユニットで、凄く演奏が達者で迫力があった。「ぶっ壊れて再生」を繰り返す感じなんだが、上手いからぶっ壊れ方が半端なくかっこいい。演奏観た後spotifyで聴いてみたがちょっと違う感じだった。これは生で見るべきロックユニットだ。この後NPOビレッジ(?)が福島での甲状腺がんの実態について説明してくれた。原発の事故後、懸念されていたことが現実になっている。もっと世間で話題になるべき話だと思ったが・・・。
歌えるオルガン・キーボード奏者。コブシの利いた歌を中心とした、熱苦しい本格的なR&Bで良かった。もっと洗練された都会的なヤツかと思ってた。最後の曲は会場も巻き込んで大盛り上がり。俺も含めてヨ・ラ・テンゴ待ちも多かったと思うが、かなりオーディエンスが多かった。
アイラとジェームズを中心とした、40年近いキャリアのベテランオルタナギターバンド。時間帯もよく、ヘブンにぎっしりヒトが集まった。夕暮れの雰囲気もバンドの音にあってて、開演前から良い感じになりそうな雰囲気が凄かった。90年代後半からのリスナーはヨラのキュートな部分を愛でているヒトが多いと思うが(俺も好きです)、オルタナギターロックのパイオニアのひとつであり、ヴェルヴェットのセカンドあたりの影響が最も強く、今回も冒頭からディストーションを聴かせたギターでアイラがガンガン飛ばしていった。ただ、全体的にはポップな感じになるから面白いし、それがここまで愛されている理由の一つだろう。とても良かった。移動もあって前半で切り上げたが、Autmn SweaterとかYou Can Have It Allあたりのみんなが聴きたいヤツもやったのかな?
結構楽しみにしていたが、カラオケショーみたいだった。バンドもDJもいない、たった一人のセット。たまにギターの弾き語り。歌は上手かったがバイブスが足りない。こんなのトリ前に持ってくるなよ。
06年フジ以来のストロークス。前回も観ているが、その年はレッチリが強力過ぎて全然印象が無い。
最初から飛ばしている感じのステージで、バンドの演奏にキレがあり、音も凄く良かったので「おお!」と思ったが、徐々にジュリアンが暴走。いつも以上に舐めた感じのダラダラした歌い回しになり、日本のオーディエンスの薄い反応に苛立ったか突如「silence!」とデカい声で叫んだり、1曲途中で打ち切ったり、「日本の野球選手で大谷は最高だ」と野球フリークをアピールしたり、等。やたらと不機嫌そうに見えた。こっちからしたらカネも払ってるし「なんだコイツ?」って感じで、中盤以降引いた。結成時から変わらないバンドメンバーは、演奏はキレキレだがサラリーマンのようだった。暴君とそれに使える部下って感じ。全体としては満足だが、次に来たとしても別にいいやって感じだ。日本を舐めるなジュリアン。
グリーントリ後のレッドマーキー。たまたま入ったら凄いのやってた。モノクロな映像と暴力的な音がシンクロしたハード・コアな1時間。非常にストイックだった。俺にはナイン・インチ・ネイルズばりのインダストリアル・ロックに聴こえた。衝撃度では今回見た中でナンバーワンだな。やばかった。
Ryoji Ikedaの後だったためインパクトが薄かった。早々と切り上げサーカスへ。
ルーキーアゴーゴーでサーカスの前にやっていたんで観た。バンドの雰囲気がよく、カクバリズムっぽい。結構良い曲をやっていてブレイクすると思う。
久しぶりにサーカス復活!これこそフジロックという感じ。アクトを観終わって最後にサーカスとかルーキアクトを観終わって最後にサーカスとかルーキーアゴーゴーで軽く盛り上がって帰るってのが、マンネリだけどFUJI ROCKの最高の締め方。新しいパレスの位置に最初は違和感があったが、中にはいってしまえば関係ない。雰囲気最高で、フジロックの再生を実感した。
サーカス後にチラッと観た。はっぴいえんどやサニーデイ・サービスの流れの先端にいる感じか。アルバムの方が世界観を上手に見せてた感じはあるが、こちらもブレイクすると思う。
・飯屋。今年は飯屋の列がどこも異常に長くて。これは決済サービスにトラブルがあった影響かもしれないけど。飯屋の数が減って、更に配置が悪いのが影響しているんじゃないかと思います。アヴァロンの、これまでだと混雑なんてまず無かった店ですら相当な列になっていた。まあ、俺はかなり前からフェス飯のコスパの悪さにうんざりしていて、会場内ではほとんど持ち込んだ栄養食しか食べてないからあまり影響無いけど。あ、酒は呑みまくり。上にも書いたがビールの列が短く、ソフトドリンクの列が相当長いのにはびっくりした。水を買う気がしなかった。会場内の水って飲んでも平気なのかな、あれをペットボトルに入れて呑むのでもいいんだけど。
・YELLOW CLIFF。道の反対側が駐車場と日常そのままになっていて(今まではパレスだった)、なんか凄く殺風景。ここでメシ食いたくねえなって感じ。
・初日はトイレ待ちもほとんど無かった。
・ホワイトからヘブンへのボードウォーク、去年あたりは凄く地味でフジロックの停滞の影響を感じたが、今年は凄く良かった。フジロックに出演しその後亡くなったアクトの墓標みたいなのがあって。アベフトシは鮎川誠と並んでてほっこりした。エリオット・スミスもあったのが嬉しかった。墓標の後はスピリチャルな感じに飾られていて、さながら天国への道、といった感じだった。
・森のピアノ。ボードウォークの途中に「街かどピアノ」みたいな感じにピアノが置いてあって凄く静かで良い感じの空間になっていた。俺が通ったときは小さな子どもがひとりでピアノを演奏し始めて、多分意図して何かを弾いているわけではないんだろうが、凄くアンビエントな感じで周囲の空気が変わった。「72時間」のカメラクルーが撮影していたので、テレビに出るかも、俺も。
・車。朝6時半頃出発し、途中飯を食って、12時に駐車場に着いた。駐車代4000円。ガソリン代往復3000円。高速利用無し。別に5時間ぐらいの運転で疲れないし、来年もこれで行こうかと。帰りは眠くなる。そりゃそうだ、2時半に車に戻り車中泊、4時には明るくなって目覚めて出発しているのだから。安く休憩できるところを開拓したい(やっぱあの健康ランドかな?)。
・来年も「ルート17」でスタートし「サーカス」で締める感じにしたい。酒は19時まで。
・締めは韮崎市の「フレンズ」。開店と同時に。最高旨かった。
極私的再生リスト「terao TV」。
まさかの復活。こないだ録画してたOFSを10数年ぶりに見た影響で作ってしまった。
あまり流れは考えず、好きなMVを打ち込んだ感じ。
再生リスト通り流してもらうと、ブレイクとか入るのでテレビっぽくなると思う。
今回寺尾一郎の語りは無いので、純粋にMVを楽しんでいただけるのでは。
クソ暑いし、クーラーが効いた部屋でだらだら観てやってください。
宮崎駿監督のおそらくラスト作。前情報がない中、タイトルと鳥の絵だけで「何だか説教臭そう」と感じたのは俺だけじゃないはずだ。
実際は、複雑な事情が入り交じる現実世界と魅力的な幻想世界、そして多分承継問題、この3つがぐちゃぐちゃに混合し、一見冒険モノだが母とその妹(義母)と父の関係など、もののけ姫並みにヤバい映画だと思う。
あまり予算を取らず身内だけで作ったのでは。その分宮崎監督の内面が滲みでた感じ。ヒロインは母と義母なのだが理屈じゃよくわからない変な感じを覚えた。これを小学生とかちびっ子と見に来る親はあまりにも無防備。深読みすれば非常に気まずい映画だ。あと、相変わらずタバコへの愛が炸裂する。
話は分断されすぎてて理解しようと思わないほうが楽しめる。タバコ好きの婆さんの件だけは何か伏線があったのか?よくわからなかった。
93年にリリースされた4作目。
セガの人気ゲーム「Altered Beast」にインスピレーションを受けており、マシューのゲーム愛が反映されている。
アルバムには、いくつも佳曲が収められている。特に「Devil With The Green Eyes」は、ドラマティックなメロディと劇場的な展開が印象的で、代表曲となった。また、「Time Capsule」は、メランコリックなメロディと共に耳に残るリフが響く名曲。「Someone To Pull The Trigger」は、アニメのエンディングテーマのような幻想的で終末感のある曲で、アルバムのハイライトになっている。
アルバム後半には、レジェンドピアニストであるニッキー・ホプキンスが参加している。いわゆる「芳醇な」ピアノ演奏は、曲に深みと繊細さを与えている。また、12曲目の「Reaching Out」では、ニッキーに加えてフリートウッド・マックのドラマー、ミック・フリートウッドも参加している。ゲストが豪華な割にキャリア中最大レベルで地味な曲で、このアルバムをある意味象徴している。
この作品は、前作「ガールフレンド」ほどの商業的成功に至らなかった。ビルボードチャートでは75位にとどまり、評論家からの支持も限定的だった。しかし、良い曲が多く、地味渋ゆえに多くのファンに根強く愛されている作品だ。
現在、このアルバムはストリーミングサービスで聴くことができない。いわゆる「消えた名盤」だ。その理由や具体的な権利関係についてはわからないが、多くのリスナーがこの地味渋な傑作を楽しめるようになってほしい。
1968年にリリース。
大学時代、ポール・ウェラーの影響でスモール・フェイセズばかり聴いていた時期があった。モッズを経由したファッションセンスとヤンキー的なマインドは、当時の自分の感受性の高まりと重なり合っていた。特にこの作品はガツンときた。
アルバムはA面「Ogdens' Nut Gone Flake 」B面「Happiness Stan」の2つに分かれている。永らくコンセプトアルバムの傑作とされていたが、曲単位で聴くことが多い今の時代、B面のコックニー調のセリフとか面倒だ。
また、引き合いに出すのもあれだが、ビートルズのアビーロードのBサイドと比べると、計算された盛り上がりもなく、言葉がわからない日本人にはあまり伝わらない。
プロダクションの弱さも耳につく。レコーディングエンジニアは、当時人気のグリン・ジョンズが担当。グリンは、バンドの勢いを尊重しリアルな音を優先する傾向があり、レッド・ツェッペリンなどでは良い仕事をしているが、演奏がそれほど上手では無いスモール・フェイセズではそれが逆効果をとなり、演奏、特にマリットのギターの適当な感じが気になる。ミックスもコンプレッサーを過剰にかけて音の粒子を壊したような感じで、故意にそうしたのだろうが、サイケデリックでメロディアス、コンパクトな曲に、ふさわしいサウンドではないと思う。アレンジも中途半端なものが多い。適当な演奏を、音を壊して誤魔化しているように聴こえる。
映画「ゲット・バック」を観た後だと、グリン・ジョンズでは無くジョージ・マーティンが現場を仕切っていたら全然違う作品になっていたんだろうなと妄想してしまう。
一方で、曲の質は圧倒的に高い。モッズ・アイドルのイメージから脱却し、ハードなロッカーに成長しつつあった「アドレナリン・モンスター」のマリオットと、モッズの中のモッズとしてお洒落なセンスを持つレインのソングライティングは、優れたソングライターが多くいたこの時代でも際立って素晴らしい。このアルバム(と、周辺のシングル)に限ればレノン・マッカートニーに匹敵し、グリマーツインズ、レイ・デイヴィスより上だ。
マリオットの同時代では最高峰のロックボーカルも、サイケデリックで圧倒的でありながら、ポップさを保っているのが最高だ。
センスの良い曲とハードなギター、パワフルなドラム、ちょっとトラッド的なフォーク感、そしてサイケデリックな要素が組み合わさり、まさしくUKロックの最高峰。ブリットポップの元祖とも言える。
ちゃんと作っていればビートルズの諸作を越える傑作になっていたんじゃないか・・・、それぐらいポテンシャルのある作品だ。
最近数年間、そう、フジロックでロッド無しの再結成FACES(アンコールで"All or Nothing"を演奏)を観た後ぐらいから、スモール・フェイセズを聴く機会が大幅に減った。
スティーヴ・マリオットの歌声を聴くときは、ほとんどがハンブル・パイの曲になった。スモール・フェイセズは彼のキャリアの未完成な時期とみなしていた。
現在では、存命の中心メンバーはドラマーのケニー・ジョーンズだけ。得するヒトも減ったこともあってか、メディアも、この名盤をあまり話題にしなくなった。
かつてはコンセプトアルバムの名盤として称えられていたこの作品も、いまでは「忘れられた名盤」に分類されるかもしれない。
アルバムを巡る状況は寂しい限りだが、久々にじっくり聴くと、やはり最高のUKロックアルバム。俺は好きだな。
1982年にリリース。
この時期のジョージは映画製作やカーレースに夢中になっており、音楽への関心が薄れてた。アルバムはほとんど宣伝されずにリリースされ、英国ではチャート入りせず評論家たちからも酷評された。次の復活作と評される「クラウドナイン」までには5年の歳月を要した。
しかしながら、今聴くと、ジョージの「怠惰な日常からの脱却と人生を楽しむ」圧倒的にポジティヴな個性が、リゾート音楽と交差し結実した、唯一無比の「気楽なロックアルバム」だと思う。ジョージ独特の多幸感に溢れた雰囲気が存分に楽しめる。
ソロキャリアの中期では、宗教的な要素が強く現れる時期もあったが、このアルバムでは別の次元に到達した感じ。聞き手はリラックスしてアルバムの世界観に浸ることができる。
個人的には、アルバムのジャケットの雰囲気も好きだ。
以下はアルバムの曲についての感想。
Wake Up My Love: ジョージらしい多幸感に満ちた曲で、効果的にシンセサイザーの音が使われている。リゾート地で太陽が照りつけるイメージを連想させる。
That's The Way It Goes: スライド・ギターが冴える明るい曲。のんびりとしたジョージらしい曲調が楽しめる。
I Really Love You: オールディーズの雰囲気が漂う、おしゃれなリラックスナンバー。
Greece: 柔らかいギターの音が多幸感に溢れた曲。
Gone Troppo: ジョージ自身が作った造語で、明るくポップ。アルバムを象徴する陽気な曲。
Mystical One: クーラ・シェイカーの曲みたいなタイトルだが、インド的な要素は無い。スライドギターが印象的なポップなナンバー。
Unknown Delight: アルバムの中でテンポが遅く、一段と脱力。ギターと歌声が美しく響いている。
Baby Don't Run Away: 手抜きっぽい曲だが、メロディは素晴らしく、女性ボーカルの使い方も巧み。
Dream Away: オッサンになった心情が感じられる、リラックスした雰囲気の曲。楽しげなムードが広がる。
Circles: 他の曲とトーンが異なり、現実世界に戻ってきたような感じ。このアルバムでは唯一、ビートルズ的な要素が強く感じられる。締めくくりとして相応しい曲。
「Gone Troppo」は、ジョージのキャリアの中でも際立って人間性が出た作品で、リラックスした音楽スタイルやポジティヴで前向きな力強さを堪能できる。これからの季節に最高だ。
98年にリリース。
UKロックシーンはブリットポップの残り火の中、ロックとクラブサウンドが盛っていた。
ベルセバはそのようなシーンとは一線を画し、繊細でインディーズ志向の音楽を展開、独自のアプローチは注目を集め、日本を含むギターポップフリークから支持されていた。
発売当時、自分は大学生3年生でモラトリアムど真ん中、この作品はサントラのひとつだ。部屋で一人で聴くというよりは、仲間とわいわいしているときのBGMだった。
「The Boy With The Arab Strap」は、60〜70年代のソフトロックの影響を受けながらも、独自のアレンジと繊細なメロディで1STアルバムの世界観を深掘りしたアルバムだ。UKチャート11位まで上がり、ベルセバは立ち位置を確保した。
また、このアルバムではバンドとしての成長が見られた。これまでの2枚のアルバムは、スチュワートのソロ的な要素が強かったが、このアルバムからバンドとしてのBelle & Sebastianが本格的に成長し始め、スチュワート以外のメンバーの存在感が大きくなった。特に、初期メンバーの中で絶大な人気を誇ったイザベルは「Is It Wicked Not To Care?」をソロで歌い、「Sleep The Clock Around 」「The Rollercoaster Ride」ではスチュワートと闇を感じさせるデュエットを披露した。スティービー・ジャクソンも「Seymour Stein」「Chickfactor」で洒落たセンスのボーカルを担当し、スチュワート・デヴィッドもクールな演奏が素晴らしい「A Space Boy Dream」で素朴な語りで存在感を示した。
2017年の朝霧JAMで彼らのライブを観た。アルバムのタイトル曲「The Boy With The Arab Strap」では、観客がステージに上がり、ステージ全体に一体感が生まれ、やたらと盛りあがった。それもあって、この作品はサークル的な連帯感や多幸感を強く感じさせる。
プロデュースはトニー・ドゥーガンが手掛け、バンドの個性を引き出した。
「The Boy With The Arab Strap」のタイトルは、変態ユニット「Arab Strap」から取られており、このアルバムを通じて彼らの名前が広まったが、そもそも「Arab Strap」自体が下ネタだ。
「少年とArab Strap」、ジャニー●じゃないが、このバンドの変態性を明確に示したタイトルだ。光の背後の闇を強く感じさせる。そういった点も、ソフトロックやスミスの伝統をしっかり引き継いでいると言える。
バンドを代表する傑作だ。
1977年発表。エルヴィス・コステロのデビューアルバム。音質の良さとパンク的なエッジが印象的な傑作。
ニック・ロウのプロデュースの元、ロンドンで短期間にライブレコーディング的にパッケージングされた。パ
ンク的な切れのあるロックンロールやレゲエといったレベル・ミュージックを時代の音としてうまく切り取り、英国らしいビートルズ的なメロディを活かしながら自分のものとして鳴らしている。
ボーカルを筆頭に演奏にキレがあり、激しさやエネルギーを強く感じることができる。爽快。最も出来の良いデビューアルバムの一つで、70年代後期のUKロックを代表する名盤だ。
演奏がヒューイ・ルイス&ザ ニュースとなるクローバーというのも面白い。
サラリーマンの悲哀を歌ったパンクなナンバー「Welcome to the Working Week」、代表曲「Alison」、後に追加された当時のシングル「Watching The Detectives」など名曲多数。
Beat TERAO radio | Podcast on Spotify
Mercury Rev - Opus 40
Beck - Think I'm In Love
Pavement - Cut Your Hair
Quasi - Doomscrollers
Elvis Costello - Welcome To The Working Week
Elvis Costello - Watching The Detectives - Single Version
Elvis Costello - Alison
The Jackson 5 - I'll Be There
16年にデビューしたアメリカのロックデュオ「the lemon twigs」。60〜70年代のロックやポップスの影響を強く受けており、てらいなく好きなようにクラシックロックを鳴らすのが最大の魅力だ。
23年の最新作「everything harmonony」は、架空のバンドが活躍するテレビドラマのサントラを作っていたがボツになり、その題材を基に作ったアルバムとのこと。
60〜70年代ロックのエッセンスを凝縮、ゾンビのように蘇らせた傑作、かつ同時代的には怪作だ。ここ20年のロック・ポップスが無かったかのようなレベル。「50年前の時代から抹殺された名盤が発掘され再発!」と言われても全く違和感が無い。
曲やコーラスのサイケデリックでヌルい感じからは、カート・ベッチャーの強い影響を感じる。界隈のソフトロック好きは必聴だ。