- アーティスト: グレアム・コクソン
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2004/05/26
- メディア: CD
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傑作。
グレアム・コクソンという人物こそが実はブリットポップを最も象徴する人物なのではないか。それは、外向けのポップアイコンとしてではなく、ブリットポップを支えた聴き手である僕らの象徴として。彼のルックスやストリート感覚、その音楽遍歴、全てが僕らの行動範囲のカルチャーにぴったり嵌っていたと思う。そんなグレアムがブラーを脱退したのは、ブラーが既にジェネレーションなど全く関係の無い音楽に変わったことの証明だと言える。
ブラー在籍時から度々ソロアルバムを発表してきたグレアム。どれもアーティスト性の高い作品で、雰囲気は良いのだが、普段の生活で楽しめるものではなかった。五枚目となるこの作品にはプロデューサーにブラー黄金時代を支えたスティーヴン・ストリートを起用。ブラー黄金時代を思わせる高性能なポップ作品に仕上がった。これを待ってたんだよ、僕は。
「コーヒー&TV」を彷彿とさせるような軽快なポップ作品から、メロが耳から離れないバラードまで、ほんとに幅広い音楽性なのだが、それが雑多な感じは無く、コンパクトに纏まっていて非常に聴きやすい。このあたりプロデューサーの力が非常に強いと思う。
相変わらずの怠惰なローファイ声、隙を見せると地面に潜り込んでしまいそうな感じなのだが、なんとか今回は頑張ってポップメロを歌い、時にはキレイにシャウトする。その微妙な頑張りがなんだか嬉しい。凄く等身大。
聴く時間を全く選ばないアルバム。どんなときでもOK。それは僕らの生活と同じリズムで鳴っているからだ。実は今年のベストアルバム候補。