solid bond

never a dull moment

  • Simon & Garfunkel / Bookends


サイモン&ガーファンクルの代表作。このユニット、社会を深く切り込んでいく歌詞や柔らかいメロディーが凄いのは勿論だが、音響的な面で凄く凝っていて、同時代の他のフォークシンガーと歴然とした差があり、現在の耳にも充分届く音になっている。アコギの残響音と二人のコーラス、感情の高まりを表現するストリングスの響き合いが素晴らしい。

このアルバムは68年の作品。時代の流れを受けてA面は「BOOKENDS」サイド、即ちコンセプトで繋がっている。静かで落ち着いた佳曲が連なっていて、聴くたびにその世界に入り込むことが出来る。B面はヒット曲集のような趣だ。ヒット曲の「ミセス・ロビンソン」「冬の散歩道」が入っている。「ミセス・ロビンソン」はレモンヘッズのカバーでも有名だが、イントロのギターフレーズは最高にウキウキしたリフで、このリフを軸に展開するメロディーはポール・サイモンの天賦の才の証明だ。このユニットの最も素晴らしい曲だと思う。「冬の散歩道」は僕みたいな20代後半にとっては苦い記憶のある曲だ。イジメのテーマ?少年愛?この曲もバングルスが80年代にカバーし大ヒットさせている。やはりギターのリフが印象的で、ギターを弾くヒトなら一度は奏でるメロディーじゃないだろうか。他にも「パンキーのジレンマ」や「動物園にて」といった隠れた名曲が収められている。

A面の繋がりの心地良さ、B面の小粋なポップソングが溢れてくる楽しさ、どちらも素晴らしい。S&Gはどうしてもベストや企画モノに手を出してしまいがちだが、一枚一枚のアルバムの完成度も非常に高いので、このアルバムあたりから聴いてみたらどうだろうか。