solid bond

never a dull moment


言わずと知れたチリ・ペッパーズのギタリスト、ジョン・フルシアンテのソロアルバム。ピコピコした音が耳障りな瞬間もあった前作に比べてハイクオリティ、しかし相変わらずのヘナヘナな音で、デモテープのような生々しさは既にジョン・フルシアンテの特許みたいなモノか。メロディーは切なさを増していて、とても素晴らしい。一瞬で異次元に足を踏み入れてしまうようなスリリングな感覚は、この人ならではのもの。10曲目、11曲目の醒めた繋がりが素晴らしく、静脈に血が流れる音を聴くような不気味な雰囲気、それでいてとても美しい。

もっと時間をかけて音を重ねていれば・・・って何度も思ったりする。しかし、未完成だからこそ、たくさんのものが伝わってくるわけで、これはきっとこの剥き出しのままで良いのだろう。何度も聴いていると、チリ・ペッパーズではまだまだ彼の色が出尽くしていないのがわかる。ブライアン・ウィルソンにも通じるラリったトリップ感こそジョンの本領であり、フリー等の肉感的なリズムとの、もっと複雑な絡みを聴いてみたい。バンドでもっとこの屈折感が出れば、煮詰まった感じのあるチリ・ペッパーズももう少し楽しい音が出せるのではないか。

ネットではアコギデモが豪快に公開されているのでそっちと聴き比べても楽しい。多作な彼は今年月イチペースで作品を作っていくようだが、少し煮詰めても良いような気がする。