solid bond

never a dull moment

blur 「park life」

Parklife

Parklife

ピコピコ鳴るイントロのシンセを聴くと、ちょっとピッチリしたシャツを着て、その上にジャージを着て街に繰り出していた頃を思い出す。

ブラーのファンってのは当時(というか今も)二つに分かれると思う。デーモン派とグレアム派である。そして、日本では圧倒的にグレアム派が強い。デーモンって、なんか凄くズルそうな感じがするんだよね。緻密な策略を常に
練ってそうな感じで。音楽の聴き方も感覚ではなく、いろんな情報からトレンドをいち早く発見してそれを極める、みたいな。それに対してグレアムはホントに自分のセンスで表現している感じがするんだよね。ギターの音とかも凄く「求道!」みたいな、自分の音を凄く探している感じが伝わってくる。

このパークライフってアルバムは、この二人の極端な幼馴染の力が五分五分に渡り合った作品、って感じがする。デーモンの作る曲は「モダンライフ」から引き続いて凄く良い。そして、グレアムのギターは、前作のどちらかと言うとまだシューゲイザーやマンチェの色が残ったギターから圧倒的に進化し、オリジナリティを確立、ひとつひとつの曲で、ピンポイントに自己主張をしてくる。それが最も良く表れている曲が「park life」だと思う。グレアムのソロが最高だ。


また、アルバムの雰囲気は、実は「怠惰」である。デーモンの声の表情がホント「怠惰」だ。アレックスのベースと、グレアムの局面を変えるギターが、その「怠惰」を切り裂き、ロンドンタウンの高揚感・緊張感を生み出している。
「怠惰」はシニカルさから生まれているような気がする。まっすぐカッコいいものは、逆にカッコ悪いとされた時代。それがブリットポップだった。
ただ、全体のイメージである「怠惰」を打ち破るものが、それぞれのバンドにあり、それぞれのバンドの特徴となっていた。それはこの時期のブラーのグレアムのギター、アレックスのベースであり、例えばオアシスでのそれはビートルズへの盲目的な愛だった。


このアルバム以降のグレアムのプレイは、妙なテンションを持ってしまうデーモンと反比例するかのように怠惰な音を奏でるものになっていくのが非常に面白い。