solid bond

never a dull moment

Fountains of Wayne、本領発揮の名盤「 Utopia Parkway」

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1999年発表、2ndアルバム。

グランジのザラつきをまとった1stとは違い、ポップセンスを全面に押し出した作品。やたらとキラキラしている。1stの陰影に惹かれていた自分には、当初かなり肩透かしだった。しかし、これこそがFOWの本領だった。

 


グランジ的な音圧を引き算しUKロックやパワーポップと共振しながら、軽やかに、自分たちのポップを貫いた。アダム・シュレシンジャーとクリス・コリングウッドの書く歌は、甘さと皮肉が同居し、少し屈折している。にもかかわらず、メロディは驚くほど大衆的で、どこまでもキャッチーだ。表面はカラッとしているが、奥には毒がある。ギターポップの傑作と言い切っていい。

 


アルバム前半はキャッチーな曲が続き、流れるように駆け抜ける。「Utopia Parkway」「Red Dragon Tattoo」「Denise」。どれも完璧なポップソングだ。当時のハイライトは「Troubled Times」。そこまでは文句なしの流れで、みんなよく聴いていた。

 


だが、今好きなのは後半だ。「Prom Theme」「A Fine Day for a Parade」。テンポを落とし、力を抜いた曲が沁みる。前半を聴き飽きた反動もあるかもだが、今の耳にちょうど良い。ポップソングとしての面白さはむしろ後半が勝る。

 


シングルは「Denise」「Red Dragon Tattoo」「Troubled Times」の3曲。「Denise」はUKチャート57位。アメリカでも一定のヒットになったが、大成功とは言い難い。「Red Dragon Tattoo」はチャート入りしなかったが、今や代表曲の一つとなった。

 

「Utopia Parkway」は、俺たちの普通の日常を、さりげなく肯定してくれるアルバムだ。初めて聴いたときは「軽すぎる」と感じたが、今は軽さこそが価値だと思う。説教も押し付けもない。ただ隣で一緒に歩いてくれる。そういう音楽だ。

 


アダム・シュレシンジャーが2020年、コロナで亡くなった。本当に惜しい。

バンドは再び動き始め、日本でもうすぐ観られる。