季節が変わりかけている。桜も知らぬ間に散り、密閉された部屋には湿った空気が漂うようになった。天気のドーピングで、夕方には疲労が体に残った。
風呂に入って、麦茶を飲んで、Spotifyをシャッフルした。流れてきたのはSugarの “If I Can’t Change Your Mind”。懐かしいというより、一瞬緩んだ。大学の頃、隣人がよく流していた曲だ。

隣人は学生にしては高めの車に乗り、アメリカのオルタナ寄りのギターロックを選んでいた。ブリットポップ界隈ばかり聴いていた俺には、少し遠かった。だが、今、当時を振り返ると、隣人はすごく良い趣味していた。俺らがついていけなかっただけだ。
92年のアルバム『Copper Blue』に収録されたシングル。Sugarの中でも、群を抜いてポップで風通しの良い曲だ。ギターは軽やかでメロディーは伸びやか、力が抜けているのに疾走感と推進力がある。グランジやハスカードゥの暗さも感じられない。
Sugarの他の曲は、もう少し濁りや歪みが強かった印象があるが、この曲には、毒気のない潔さがある。思い出補正だけではなく、今聴いても非常に良い曲だ。
少し疲れた夜にちょうどいい。感情を煽らず、どこか遠くへ連れていくわけでもない。若干の前向きな感じ。それだけで、十分すぎるほど価値がある曲だ。