solid bond

never a dull moment

Latin Playboys!!特別変異の音像が最高すぎる

94年、ロス・ロボスの中心メンバーが、プロデューサーのチャド・ブレイクとミッチェル・フルームと組んで生まれた実験的サイドプロジェクト、Latin Playboys。当時のオルタナロックの空気と、ロス・ロボスが育んできたルーツ・ロックの文脈がクロスした奇妙で魅惑的な音の塊だ。

ローファイなホーム・レコーディングが基本で、ざらついたギター、アンビエント的なフィールドノイズ、無造作なパーカッションが散りばめられている。すべてが「くぐもった」音像。それがクソ心地いい。ガチガチのかき氷を口に放り込んだときのような、頭がキーンとなる感覚。ラテン、ブルース、サイケデリック、ファンク、フォーク、スワンプなど、あらゆるジャンルがミックスされながら、いびつなバランスを保っている。

中心となったのは、イダルゴのギターと、彼の雑味を含んだボーカル。そこに、プロデューサー陣の実験的な感性が加わることで、ただの脱線サイドプロジェクトを逸脱した。特にエルヴィス・コステロやクラウデッド・ハウスtの仕事で知られる音像の魔術師・チャド・ブレイクは、極端なコンプレッション、ディチューンされたテープのような感触などを駆使し、全体を不可思議なトリップ感のある音に仕上げた。

不快な6月の朝、クーラーをギンギンに効かせた部屋で鳴っているような、湿気と人工的な冷気が混じった音楽。「ワールドミュージック」として仕立てられたものではなく、アメリカのラテン系アーティストたちが、自分たちのルーツを加工し、遊び、見たことのないロックを作り出した。過程にある熱量は、サイケやブルースが生まれた原初の衝動に近い感じだ。「トラウト・マスク・レプリカ」と同じぐらい時空を越えたエネルギーを感じる作品だ。

アナログでざらついた音が、90年代以降のオルタナティヴ/ローファイ・ミュージックの潮流に通じる点で重要な作品だ。
決して万人向けではないが、聴くたびに別の場所へトリップさせてくれる、強烈な中毒性を持ったアルバムだ。聴かないと勿体ない傑作。