solid bond

never a dull moment

桜、満開。サニーデイ・サービスの「東京」を聴く。

桜が一気に咲いた。
足踏みしていたつぼみが、数日ぶりの陽射しに一斉に開いた。
街の空気が柔らかくなって、季節が少し進んだ気がした。

今年もサニーデイ・サービスの『東京』がハマる季節が来た。
どこか無防備で、光が差し込んでいるのに、物寂しさもある。
風景に近い音。聴いていると、思い出の引き出しがひとつ開くような感覚がある。

中でも『恋に落ちたら』は特別だ。
田中のベースが心臓のように鳴り出すと、時間がゆっくりと巻き戻る。
何も始まっていないのにすっかりクライマックスを迎えたような、それでいて諦めを感じるような。
繊細な時期の青白いイノセンスだ。

曽我部の声は、当時の空気感そのものの虚無に満ちた響きだ。
まっすぐで、危なっかしい感じ。
一瞬で過ぎてしまうものが持つ強さと、儚い美しさ。
桜のような・・・と言ってしまうのはベタで憚れるが。
その声に、アルバム全体が支えられている。

大学に入ったばかりの春、自分の居場所が掴めなかった頃(今も変わらんが)に、よく聴いていた。
仙台の街の空気、人の気配、自分の輪郭のあいまいさ。
あの時期の記憶に、『東京』はずっと寄り添っている。(仙台だが。)

今聴いても、時間軸を無効にする感じでグイグイきて、若干きつかったりする。で、春のこの時期しか聴けない。