BBCを聞いていたら、クーラ・シェイカーが流れてきた。久しぶりに聴いて、やはり実力のあるバンドだと再認識した。フジロックで何度も見たが、他のUKバンドと比べて演奏能力が高い。ボーカリストのクリスピアン・ミルズはカリスマ性があり、ルックスも良く、シャウトからバラードまでしっかり歌いこなす。
彼らの楽曲は、ディープ・パープルのようなハードロック曲もあれば、グレイトフル・デッドのようなトランシーなギターソロが入る曲、さらにはインド音楽の要素を取り入れたものや、ポップなメロディを持った曲までバラエティ豊かだ。支えるバンドも基礎能力の高さが際立つ。クリスピアンという才能の塊があり、それをしっかりとバンドが支えていた。
デビューアルバム『K』のリアルタイムでの衝撃は凄まじかった。しかし、そこからの失速が惜しまれる。90年代のUKロックシーンで、もっと上手くやれていれば、コールドプレイなんかと並んで、巨大なステージに立っていたはずだ。『K』は、ギター、ボーカル、ビジュアルのすべてが完璧で、当時の大学生(俺)にとってまさに「出てきたな!」という印象だった。
その後、『ペザント、ピッグス&アストロノーツ』を発表。シングル「シャワー・ユア・ラヴ」「サウンド・オブ・ドラムス」などポップな楽曲もあったが、方向性を誤ったのか、期待ほどのインパクトを残せなかった。勢いを持続させて、アメリカ市場にもうまくアプローチできていれば、バンドのキャリアは大きく変わっていたかもしれない。
一旦解散してからはあまり脚光を浴びていないが、サード・アルバム以降も実は力作が多い。『K 2.0』はファーストアルバムの続編的なタイトルを掲げつつも、独自の完成度を持った作品だった。そして、最新作『ナチュラル・マジック』(2024年)は、バンドの演奏力が存分に発揮された素晴らしいアルバムだ。デビュー当時のサイケデリックな要素を活かしつつも、よりわかりやすく、円熟したサウンドに仕上がっており、まさにバンドの集大成とも言える。
クーラ・シェイカーはカバーセンスも抜群だった。ジョージ・ハリスンの「ski-ing」のリフを拡大解釈した「Gokula」や、ディープ・パープルが取り上げて有名になった「ハッシュ」など。90年代特有の「過去の名曲を再発見し、再構築する」センスを持ち、それが渋谷系とも共鳴する部分があった。『K』自体も、さまざまな音楽をサンプリング的に取り込んだ作品だった。
こうした編集センスを持つバンドは90年代には多かったが、2000年代に入ると多くは失速した。クーラ・シェイカーも、決してオリジネーターでは無く、その流れに巻き込まれてしまった感じもある。rok