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never a dull moment

ネオ・ブラボー!がサザンの最強シングルだ

サザンオールスターズの「THANK YOU SO MUTCH」がリリースされた。久しぶりの新作ということで、メディアへの露出も増え、雑誌で特集も組まれている。中でも『ブルータス』のサザン特集は意外だった。山下達郎ならともかく、サザンは大衆的なイメージが強く『ブルータス』とは色が異なる印象だ。特集の内容自体はそこまで深いものではなかったけど。

 

レコード・コレクターズ』最新号でもサザンの特集が組まれている。これまで『レココレ』はサザンをあまり取り上げてこなかった印象があるので、この変化は興味深い。どのような視点でサザンを論じるのか、読んでみるのが楽しみだ。

 

サザンを最も熱心に聴いていたのは、90年代の学生時代から社会人になりたての頃までだった。それ以降は、マーケティングに沿ったような作風になったことで、関心が薄れていった。過去の楽曲を聴き返すことはあっても、新しい作品への期待感は薄れていった。

 

90年代によく聴いていたのは、デビューから『世に万葉の花が咲くなり』あたり。

 

中学の頃にはリアルタイムで映画『稲村ジェーン』があり、「真夏の果実」は学祭シーズンによく聴いていた記憶が鮮明に残っている。映画も劇場で観たが、正直ストーリーの良さはあまり理解できなかった。ただ、映像の美しさは印象に残っている。今となっては、桑田が営外で何をしようとしたか少しわかるような気がする。

 

シングル『ネオ・ブラボー!』もよく聴いていた。タイトル曲はもちろんかっこよかったが、B面の「冷たい夏」も強烈だった。『ネオ・ブラボー!』は70年代前半のロックをベースにジョージハリスン的なスライドギターが曲を引っ張るサウンドで、サザンのロックバンドとしてのリアルな一面が存分に表れていた。音作りにもこだわりが感じられ、単なるJ-POPではなく、バンドの拘りを持ったロックサウンドに聴こえた。少しくぐもったサウンドから、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』やスライ・ストーンの『暴動』のレベルの独特の質感をサウンドに感じた。

「冷たい夏」もまた、サウンドへのこだわりが感じられる楽曲だった。コード進行やメロディーは桑田佳祐らしいが、完成度の高さが際立っていた。「真夏の果実」と同じくらい評価されてもいい楽曲だと思う。桑田佳祐のクールなボーカルと、どこか冷めた視点の歌詞が印象的で、爽やかさと切なさを併せ持つ絶妙なバランスの楽曲だった。「C調言葉」のAメロに代表される桑田の醒めた感じの歌は凄く好きだ。00年代からはこのトーンでの歌声を聴くことができなくなってしまった。

 

世に万葉の花が咲くなり」は、桑田のソロ作品のような感じで、「バンド」を捨てても、表現したいことを相当な力を入れて作った印象で、少々ダークでサザンの中でもロックな作品だ。当時学生で時間があったこともあって聴き込んだ。

 

最近のサザンは、企業的な側面が強くなり、サウンドの自由さが薄れてしまった印象がある。70年代から80年代のサザンは、青春の輝きが詰まった楽曲が多く、文句なしに素晴らしい。しかし、その後はどこか「安心して聴ける」ように作られすぎてしまい、ロックとしての荒削りな魅力が薄れてしまった。

 

それでも、過去の名曲の輝きは今も色褪せない。やはり、サザンオールスターズは日本の音楽シーンにおいて特別な存在であり続ける。