Velvet Undergroundは60年代を代表するバンド。最近のレココレランキングで60年代で1位だった。
大学生の頃、めっちゃハマって聴いていた。気持ちも時間も余裕があった時期で、少し退廃的で不良っぽい雰囲気に憧れていた。誰だってそういう時期はある。Velvet Undergroundはそのタイミングでドンピシャだった。
最初にハマったのは、王道通りで1st、The Velvet Underground & Nicoだ。アンディ・ウォーホルのバナナジャケットで有名なやつだ。90年代でもズバ抜けて評価が高かった。きっかけはヴァネッサ・パラディのアルバムで「I’m Waiting for the Man」を聴いたこと。麻薬の売人を待つ歌詞がリアルで、シンプルなのにヤバい空気があって、そこからこの1stアルバムにたどり着いた。「Sunday Morning」は暗黒な感じが好きだ。「Heroin」はもっとヤバい。麻薬のトリップをそのまま音にした感じで、ヘロインチックなダークな重さもある。アートっぽくて、刺激を求め尽くした人が作った音楽に聴こえる。
友達のバンドが3rdアルバム、The Velvet Undergroundの「What Goes On」をカバーしていたのも大きい。めっちゃカッコ良く、3rdThe Velvet Undergroundもすんなり入ってきた。Velvet熱は大学時代がピークだ。社会人になってからは余裕がなくなり、年に数回しか聴かなくなった。
各アルバムの印象
1stアルバム: The Velvet Underground & Nico
芸術性がすごい。アンディ・ウォーホルがプロデュースし、ジョン・ケールのビオラやノイズがルー・リードの声と混ざって独特の音だ。「Sunday Morning」はポップだけど暗い雰囲気がある。「Heroin」は完全にヤバい。ドラムのビートが脈打つみたいで、麻薬の世界に引きずり込まれる感じだ。全てを体験したVIPが刺激を求めた果てに辿り着いた音楽に聴こえる。芸術作品として完成度が高いけど、ニコが2曲歌っていることもあって、Velvet Undergroundっていうよりウォーホルのプロジェクトっぽい。ジャケットのインパクトも含めて納得だ。
2ndアルバム: White Light/White Heat
ジョン・ケールの狂気の音が爆発してる。初めて聴いたときは衝撃だった。LSD的なカラフルさがあった1stと比較し、重い。ヘロインの影響が大きい感じがする。ブラック・サバスはこの作品にインスパイアされんじゃないかと思う。知らんけど。
表題曲「White Light/White Heat」はギターノイズが暴力的で、ジザメリやソニック・ユースとかオルタナロックにつながるディストーションの原型だ。
最高傑作って言う人も多いし、納得できる部分もある。でも聴いた当時は入り込めなかった。強烈すぎて圧倒されて、入り込めなかった。
2000年代になって、オルタナロックのギターに慣れてから理解できた。今は凄く好きな作品だ。
3rdアルバム: The Velvet Underground
個人的にvelvetの最高傑作はこれ。ここでジョン・ケールが脱退して、バンドの色が変わった。
ルー・リードの歌い方が生と死ギリギリのラインを攻めてる。一方で表面的な音は優しい。このギャップがすごい。「Pale Blue Eyes」は静かで美しいけど、どこか怖い。「After Hours」はモーリン・タッカーが穏やかに歌って締めるけど、悪夢から抜け出せない感じがする。現実の冷たさやヤバさを突きつけられる。
修羅場をくぐり抜けた人がたどり着いた境地だ。White Light/White Heatの狂気を経た後だから、この柔らかさが際立つ。
初めて聴いたときは「聴きやすいな」で終わりそうだったけど、何度も聴くと恐ろしい深さがある。エリオット・スミスなどに繋がる生きる死ぬを超えた先にある音だ。
4thアルバム: Loaded
前3作とは違う流れの作品だ。ジョン・ケールが抜けて、ダグ・ユールが加入し、ポップさがぐっと増してる。「Rock & Roll」や「Sweet Jane」は名曲だけど、狂気は薄れた。
ルー・リードのソロっぽい曲もある。バンドが崩壊しつつある中で作られた感じがする。
ポップで聴きやすくて、昔は結構聴いていた。悪くないが、前の3枚と比べると落ちる。ダグ・ユールの影響でメロディーが整った分、ルー・リードのソロへの道筋が見える作品だ。
Velvet Undergroundの魅力と動脈系・静脈系の話
Velvet Undergroundを評価するとき、よく「動脈系」「静脈系」で表現する。ジョン・レノンやエリオット・スミス、vines静脈系で内省的。ポール・マッカートニーは動脈系だ。Velvet Undergroundはもちろん静脈系だ。冷たくて柔らかい音が染み込んでくる。ジョン・ケールがいたときは静脈系にノイズの狂気が乗っかってたけど、ケールが抜けた3rdで静脈系の極みに達した。ギリギリの感情を優しく包み込んでいる感じだ。2ndの暴力的なノイズから3rdの空虚な柔らかさへの変化は、バンドの進化そのものだ。
影響と評価
Velvet Undergroundの影響は計り知れない。ジョン・ケールの時代はアートとノイズでオルタナの種をまいて、ダグ・ユールが入ってポップさも加わった。90年代以降、フォロワーが増えて評価が上がった。velvetの革新性はソニック・ユースとか、オルタナロックの潮流に引き継がれている。影響を考えるとレコードコレクターズで1位になるのも納得だ。
締め
Velvet Undergroundは余裕がないと聴けない音楽だ。でも、こういう音を感じられる感性を大事にしたい。ジョン・ケールの狂気も、ダグ・ユールのポップさも、ルー・リードの生々しい声も全部ひっくるめて最高だ。生活に余裕を持って、Velvet Undergroundを楽しみながら生きていける人生を目指したい。本気でそう思う。