solid bond

never a dull moment

佐野元春の彼女の隣人と永野

ということで、昨日久しぶりにYouTubeを見ていたら、芸人の永野が佐野元春の「彼女の隣人」について語る動画が出てきた。永野チャンネルは一時期よく見ていたけど、最近は広告色が強い企画が増えて少し距離を置いていた。そんな中で「彼女の隣人」を取り上げるのは意外だったし、なぜこのタイミングで?という興味もあって視聴した。

サムネイルもシンプルで余計な装飾がなく、実際に見てみると、余計な情報を挟まずストレートに「彼女の隣人」について語っていて、これこそ永野チャンネルの魅力だなと久々に感じた。内容としては、永野が新宿駅を歩きながらこの曲を聴いていたところ、歌詞がぐっと心に刺さって涙してしまった、という話だった。自分もこの曲にはそういう力があると思っていたので、永野と共感できたのが嬉しかった。

「彼女の隣人」を初めて聴いたのは高校2年の頃。リアルタイムで佐野元春をよく聴いていた時期で、シングルも買った。8センチCDで、B面は「Rainbow In My Soul」。A面の「彼女の隣人」はアルバム『THE CIRCLE』に収録されていて、このアルバムは佐野元春ボブ・ディランの『Blonde on Blonde』を意識したジャケットでも知られる名作。個人的にも佐野元春の作品の中で5本の指に入るほど好きなアルバムだ。

「Rainbow In My Soul」は『Sweet 16』という前のアルバムに収録されている曲で、なぜこの曲がB面なのか不思議だったが、後に佐野元春のインタビューなどを読んで納得した。佐野の父親が亡くなったことが、この時期の創作に大きな影響を与えていて、「彼女の隣人」も「Rainbow In My Soul」も、どちらも父親を想って書かれた曲だった。特に「Rainbow In My Soul」は、父への想いをストレートに表現した内容だが、過度に感傷的にならないように意識したという。歌詞の「時は流れていても 何も変わらない またひとつ季節が過ぎて」だけでも、強烈に心に刺さる。

「彼女の隣人」の歌詞も印象的だ。サウンド的にはゴスペル的なものを感じるし、アラニス・モリセットっぽさもあって、いろんな要素が詰まっている。歌詞の「彼女の隣人」という表現も、どういう意味なのか考えさせられる部分。実は「彼女」とは佐野の妹を指していて、父親を亡くして悲しむ妹をそばで支える佐野自身の視点で描かれている。ただ、歌詞は意図的に曖昧にされていて、聴く人が自由に解釈できるようになっている。この言葉の選び方が本当に素晴らしい。

佐野元春を最初に聴いたのは中学2年の頃。当時は『Time Out!』が出たばかりで、佐野の作品の中では比較的地味な部類に入るかもしれないが、自分にとってはベスト5に入るほど好きなアルバム。軽快なロックンロールとメロディの良さが際立っていて、特に前半の疾走感が素晴らしい。最初に聴いたときは、統一感がないように思えたけど、後に改めて聴くと、そのバラエティの豊かさこそが魅力だったと気づいた。

ジャスミンガール」の歌い出し「昨日 夕暮れの街の中で 君を見かけた 髪をひとつにまとめて 風に揺れてた」の時点で、一気に世界に引き込まれる感覚があった。独特の展開もかっこよかった。「クエスチョンズ」も最初は違和感があったけど、時間が経ってから良さがわかるようになった。切迫感のある歌詞が、30代に差し掛かった佐野の心境を表しているように感じる。

『Sweet 16』や『THE CIRCLE』をリアルタイムで聴いていたのが、一番佐野元春にハマっていた時期。その後、大学に入ってからは少し距離ができたけど、佐野の音楽は常に自分の価値観の中で重要な指標だった。音楽だけじゃなく、彼の発言やラジオもずっとチェックしていたし、何がかっこよくて、何がかっこよくないのかを考えるとき、佐野元春の感性が自分に影響を与えていたと思う。

今でもこうやって曲を聴き返すと、当時の感覚がよみがえってくるし、また改めて佐野元春を深掘りしたくなった。