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ザ・バンドのガース・ハドソンの訃報に触れて。

 

ザ・バンドのガース・ハドソンが亡くなった。

2024年、87歳だった。これでついに、オリジナル・メンバー全員がこの世を去ったことになる。リヴォン・ヘルム(2012年没)、リック・ダンコ(1999年没)、リチャード・マニュエル(1986年没)、ロビー・ロバートソン(2023年没)。そして、最後のひとりだったガース・ハドソンもいなくなった。ついに「ザ・バンド」という存在が歴史の中に完全に閉じ込められた感じがする。 

 

ザ・バンドは1960年代後半から70年代にかけて活躍し、アメリカン・ロックの重要なバンドとして評価されている。ボブ・ディランのバック・バンドとしてキャリアをスタートさせた彼らは、1968年のデビューアルバム『Music from Big Pink(通称ピンク・アルバム)』で独自のサウンドを確立。2ndアルバム『The Band』では、さらにその評価を決定づけた。しかし、個人的にはこのバンドの魅力がいまだに掴みきれていない。 

 

というのも、ザ・バンドって自分の中では「評価が高いのはわかるけど、しっくりこないバンド」だからだ。昔からそうだった。音楽を聴き始めた頃から「ザ・バンドは偉大なバンド」って話はよく聞いたし、間違いなく重要な存在だというのは理解してる。でも、何がそんなに特別なのか、正直なところよくわからないままだった。 

 

ザ・バンドの特徴とは? 

彼らの音楽の特徴を挙げると、まずテンポが遅めの曲が多い。そして、ねっとりとした、まとわりつくようなドラムのリズムがある。リヴォン・ヘルムのドラムは独特で、普通のロックバンドのように力強く突き進む感じじゃなく、粘り気のある、ちょっと遅れ気味なグルーヴを生み出している。そして、そこにガース・ハドソンのオルガンやキーボードが重なって、郷愁を誘うような雰囲気を作る。このあたりが「ザ・バンドらしさ」なのかなと思う。 

 

でも、自分にとって一番わからないのは、ロビー・ロバートソンのギターだ。ザ・バンドの中心人物として、彼の名前はよく挙がるし、作曲の面でも大きな貢献をしてるのは間違いない。でも、ギタープレイそのものが飛び抜けて個性的とか、圧倒的に上手いとかいう感じではない。だからこそ、ザ・バンドの魅力を掴むのが難しくなっている気がする。 

 

それでも名曲は多い 

もちろん、いい曲はたくさんある。メロディが美しかったり、アレンジが包み込むような心地よさがあったり。特に、デビュー作の『Music from Big Pink』や2ndアルバム『The Band』には名曲が詰まっている。**「The Weight」**や**「Up on Cripple Creek」**なんかは、やっぱり聴いていてグッとくるものがある。 

 

ただ、それでもバンド・サウンドの魅力は完全には掴みきれない。例えば、リトル・フィートみたいなバンドは、リズムにあまり詳しくない自分でも「グルーヴがすごい!」っていうのがストレートに伝わってくる。でも、ザ・バンドは何かこう、重くて曖昧な感じがする。ロックなのか、ポップなのか、カントリーなのか、その境界がはっきりしない。そこが魅力なのかもしれないけど、自分にとっては「良さを明確に伝えてくれないバンド」だった。 

 

実際に観たガース・ハドソン 

そんな中で、唯一「ザ・バンド、いいかも」と思った瞬間がある。それは、フジロックのフィールド・オブ・ヘブンで、ガース・ハドソンの演奏を観たときだった。夜のフィールド・オブ・ヘブン、その雰囲気と相まって、彼のオルガンがすごくブルージーに響いた。そのときは「ハドソン、すげえな」と思ったし、心にグッとくるものがあった。 

 

でも、改めてザ・バンドの音源を聴き直してみると、やっぱりしっくりこない。最近、新しくミックスされた音源のほうが聴きやすいって話を聞いたことがある。ボブ・クリアマウンテンが手がけたリミックス版だ。彼はローリング・ストーンズの80年代のアルバムを支えたエンジニアで、その彼がザ・バンドの音をクリアに仕上げたらしい。でも、それを聴いてもやっぱり「おお、これだ!」という感じにはならなかった。結局、オリジナルのザ・バンドの音作り自体が、ぼんやりとした曖昧な雰囲気を持っていて、それが彼らの個性なんだろう。 

 

ザ・バンドは「わかる」ものなのか? 

ザ・バンドの音楽って、明確なフックがあるわけじゃない。派手なギターソロもなければ、爆発的なドラムもない。むしろ、じわじわと染み込んでいくような音楽。だからこそ、すぐに理解できるものじゃないのかもしれない。 

 

そんなことを考えながら、改めてガース・ハドソンの訃報に触れて、またザ・バンドを聴き直してみようと思う。いつか、「これがザ・バンドの良さだ!」って腹落ちする日が来るといいんだけど。