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the stands特集!00年代UKロックの良心。アルバムレビュー。

The Stands

The Standsは、ビートルズを生んだ港町リバプール出身のロックバンドで、ギター・ボーカルのハウィー・ペインを中心に2002年に結成された。バンド名は、ボブ・ディランの「The Man in the Long Black Coat」に由来している。

サウンドは、60年代のディランやバーズといったフォーク・ロックをベースに、ビートルズキンクスなどのUKクラシック・ロック、さらに90年代のOasisあたりのロックからシューゲイザー要素を除いたような音を融合させたものになっている。特にバーズの影響は強く、ロジャー・マッギンを彷彿とさせるアルペジオが楽曲に彩りを与えている。

ハウィー・ペインの歌声は、「はっきり歌うボブ・ディラン」といった趣の素朴な声質で、自己主張が強すぎず、シンプルで優しい印象を持つ。

ノエル・ギャラガーのお気に入りとしてOasisのサポートアクトを務めるなど、デビュー当時は注目を集めた。2004年秋には朝霧JAMのステージにも立ち、実際に観たが、シンプルなバンドサウンドが朝霧の夜の空気に見事にハマっていた。しかし、その渋い音楽性が大きな支持を集めるには至らず、2005年に解散。ハウィー・ペインはソロへと転向した。

 

発表アルバム

All Years Leaving(2004年)

デビューアルバム。UKチャート28位。

プロデューサーは、同郷のバンドThe Coralのフロントマン、ジェイムズ・スケリー。音の抜けが良く、The Coralのようなドロドロしたサウンドにはなっていないのが興味深い。

ボブ・ディランやバーズといった60年代フォーク・ロックのエッセンスを、2000年代初頭のクリアなサウンドプロダクションで再構築したような作品。過去の焼き直しという批判もあったが、メロディの良さはむしろオリジナルを超えている。ノエル・ギャラガーも、この楽曲のクオリティにはノックアウトされたのではないか。

柔らかな歌声、優しいメロディ、バーズを彷彿とさせるアルペジオ――アルバムの完成度は非常に高い。

主な収録曲

  • Here She Comes Again
    アルバムの中ではテンポが速めだが、ボーカルの「ちょっと待て」というようなもたつき感が独特で面白い。
  • I Need You
    バーズ風のギターに加え、日本のサニーデイ・サービスにも通じるようなGrateful Dead風のメロディが特徴的な一曲。まったりとした雰囲気が心地よい。
  • When This River Rolls Over You
    60年代ロックへの愛があふれるコード進行とギターが最高。
  • Always Is the Same / Shine On
    夜の静寂に溶け込むような歌声が魅力。ピアノとアコースティックギターを中心としたシンプルなアレンジが光る名曲。

 

Horse Fabulous(2005年)

2ndアルバム。UKチャート62位と、デビュー作ほどの成功には至らなかった。

プロデューサーは、エリオット・スミスやベック、バッドリー・ドローン・ボーイを手掛けたトム・ロスロック。よりシンプルでクリアなサウンドへと変化している。

デビュー作の60年代志向から、よりUKロック的なポップでわかりやすい方向性を目指した作品。しかし、その分バンドの個性が伝わりにくくなった感は否めず、「商業的」との批判も受けた。1stほどの話題性には恵まれず、結果的にラストアルバムとなってしまった。

個人的には、2ndのやや賑やかな雰囲気も好きだ。メロディの良さは変わらず健在で、トム・ロスロックによるサウンドプロダクションもわかりやすくハマっていると思う。