How We Operate / Gomez

How We Operate

デヴュー当初から老舗の雰囲気があったGOMEZ。レイドバックへの愛情と機械音への色気を上手く消化できなかったここ数作は退屈な印象で、何度も聴く作品にはならなかった。しかし、創業の頃を思い出したかのようにレイドバックに揺り返した本作、老舗ラーメン屋が常連客に振舞うマカナイメニューのような老成した雰囲気になってしまったが、こういう味を好むヒトには堪らない作品になっている。
ハネに拘ったリズム、しっかり聴かせどころを作るメロディー、ガッチリした演奏。丁寧に重ねられハズすところがほとんど無い。欲しい所で欲しい音が鳴る。
ただ、定則に則り過ぎている感じは否めない。枠を外すことが無さ過ぎる。このバンド、メガネ率の高い音楽オタク集団で、バンドの顔となるべきカリスマや天才が居ない。カタログの全てがロックを研究しまくって努力似努力を重ね作られた作品であり、その過程も凄く共感できるが、破壊や過剰が無く、注意しないと音が左耳から右耳へ抜けてしまう。手癖が被り始めた3枚目以降はその傾向が強い。この作品はメロに回帰しているが、ある一定のレベルは越えるものの、唸らせる程凄い曲は残念ながら見当たらない。
良く出来た佳作だけど、バンドの限界を感じさせる複雑なアルバムだ。