solid bond

never a dull moment

Stadium Arcadium / Red Hot Chili Peppers

Stadium Arcadium

Stadium Arcadium

バンド内はやたらと混乱していて、フリーは脱退も考えていたらしい。ジョンの物語が安定してしまったので、今度はフリーがストーリーの主役に抜擢されたのか。レッチリ独特の「バンド内のストーリーセールス」はもうやめたほうがいいんじゃねえの?
意外と音を語られることが少ないバンド。バンドの音に、コレだ!って特筆すべきモノが無いからだ。困ったメディアは新作が出るたびに友情話が引っ張り出す。どうでもいい。

2枚組の大作。重たいなあってのが最初の印象だが、聴きこんで曲の輪郭がすっきり浮かび上がってくるにつれて、ジョン復帰後の作品の中で最もよく出来たアルバムだと思うようになっ
た。
非常にシンプルなサウンドになっている。前作のような派手なアレンジやコーラスがない。サウンドもキンキン鳴っておらず、重心の低い地味なものだ。軽く聴いただけだと、単調で物足りなく感じるはず。
しかし、何度も聴くと、それぞれの曲の顔が見えてきて、旧い時代のロックバンドのように長々とセッションを重ねて煮詰めていった音の絡みを楽しめるようになってくる。やたらと有機的。その中でも特に圧巻なのは、やはりジョンのギターワークだ。それぞれの曲の雰囲気を決めている。ギターソロは王道の泣きメロが素晴らしい。アンソニーの歌は相変わらず常人レベルだが、バンドのバランスを取るにはこれぐらい無個性なほうが良いのだろう。フリーのベースは老獪に跳ねながらジョンを見守っている感じだ。弾きたいのをギリギリで我慢して音数をあえて落としている感じが良い。
バンドアンサンブルの極地は「we believe」だ。「one hot minute」の頃のサウンドとは数万マイル離れたところで、完全にジャンルレスな存在としてサウンドを極限まで高めた。音の塊となって高揚感がガンガン高まるこの曲、ロックサウンドの指標として称えられるんじゃないか。

真っ当なロックバンドになったもんだ。ビートルズとかストーンズあたりのスタンダードとしっかり並べられる音になっている。ファンクとかオルタナとか靴下とか、もう関係ない。成熟しきったオトナの音。若いヤツラには支持されて欲しくないレベルになってきたな。サマソニには合わないが、フジロックならジャスト。そんな感じだ。