solid bond

never a dull moment

the vines / vison valley

Vision Valley

Vision Valley

00年代のバンドの中では、アタマひとつ抜け出たクオリティを持つバンド。非常にロック的な切なさを、メロディとサウンドの両面から表現できる。
ビートルズの「revolver」におけるジョン・レノンのナンバーの冷たさ、映画「イージー・ライダー」のLSD使用場面におけるピーター・フォンダの美しさ、エリオット・スミスのメジャー契約前のアルバムが持つ切迫感。そういったものと同等の鋭いセンスを持っている。

バンドは2ND作成後混乱。中心人物クレイグ・ニコルズはアスペルガー症候群を患い、その後の音楽活動が危ぶまれたがなんとか復活。この3RDが届けられた。このバンドしか書けない、美しいメロを持つ曲が何曲も入っている。ただ、サウンドの広がりが足りず、幾分地味になった。LSDをやりつつマリファナモードに入ったような長尺の曲は無くなり、小作品が並ぶ。子気味良くて聴き易くはあるんだが。
作品の質の高さは相変わらず。だが成長があまり感じられない。もっと大袈裟にやっても良いと思う。基礎がしっかり出来上がっているバンドなのだから、もっともっと破綻していいんじゃないか。妄想の広がりが足りない。クレイグの本格的な復活待ちか。