- アーティスト: Belle & Sebastian
- 出版社/メーカー: Matador Records
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (78件) を見る
このアルバムはレーベルを移籍して2作目にあたる。前作はトレヴァー・ホーンを採用してバンドが思春期を終えたことを高らかに宣言した。このアルバムもその延長にあり、純粋とか無垢とかアマチュアっぽさとは別の次元のサウンドになっている。だからといってやたらとハイファイになったわけではなく、あくまでベルセバはベルセバな音を鳴らしているのだが。そう、「ベルセバな音」の中で極めてプロ的。過去のベルセバを思わせる曲が何曲かあり、美しいバラードなのだが、ベルセバがベルセバを演じているような感じだ。
4曲目あたりで顕著な、70年代のグラム趣味は、ベルセバが従前から持ち続けた変態性を、更に別の次元に高めるのに寄与している。はっきりいえばオカマ的。ジャケットも怪しい・・・。
ピュアとかイノセンスとかモラトリアムとかって言葉で表現されるアートが好きな人間にとって、ベルセバの初期三部作ってのは宝物だったはずだ。今のベルセバにそういった言葉はあまり似合わないものになってしまった。
無垢な青年に見えた人間が、実際に近づいて接触してみると、凄まじく変態だったという例は挙げるに暇が無いけれど、ベルセバもいよいよ自らの内面を豪快に暴き出した。それを商業ペールでやっているという所に今のベルセバの怖さがある。
完成度も高く素晴らしいアルバム。初期三部作とは全く違う精神がしっかり備わっている。