solid bond

never a dull moment

最近のロック考察(反対意見多いだろうが)

  • 音楽のネット配信とCDが高いことについての考察が載っていて、凄く興味深かった。
  • 音楽業界全体としてはどうかわからんが、少なくとも今のロック界は文化としては全く新しいものを作り出せていない。音楽が何かのムーヴメントを引っ張ることは無いし、ひとつのアルバムが世界のサントラになることも無い。そうなると、聴き手が何かの担い手になっているという興奮もないし、例えばその背景を知ろうとも思わない。これじゃあネットもフリーペーパーもある現在、ロック雑誌は売れんわ。広告雑誌に成り下がったロッキングオンだって値上げを余技なくされる。
  • 80年代中旬以降、特に僕あたりがCDをガンガン聴くようになった頃から、過去のロックのCD化があいついだ。90年中期以降の新しいロックはこれら凄まじい量の過去のカタログとの競争になった。この過去との戦いの中で象徴的だったのがOASISBLURだ。そこにあったのはオールドロックのカタログをアラカルトでまとめたようなサウンドだ。僕と同世代で90年代中期〜後期にCDをガンガン聴いていた人なら同じ経験を持っていると思うが、ブリットポップはただ単純にその時代のロックを聴くことで終わらず、その背景にある沢山の音楽を吸収するムーヴメントだった。ビートルズキンクスドアーズ、バッドフィンガー、ボブ・ディラン、ザ・バンド・・・。あげたら切りが無い。ジーンを聴いてスミスへ遡る。ドッジーの雷ドラムの原点を求めてフーを聴く。そうやって自分の音楽の領域を広げていったはずだ。で、いろいろ聴いていった挙句、勉強した自分の経験値に併せたロックを、新しい作品にも求める。どう?過去のグレイトアルバムに達するほどの新鮮さをもったアルバムがそう簡単に作れるはずが無い。ビートルズの「アビー・ロード」を100点として、50点に達するアルバムが果たして何枚あるだろうか。ジャムのベストアルバムより素晴らしいビートロックのアルバムを果たして今のバンドが作れるだろうか。
  • 過去の焼き直しをしつつも、それがまだ新鮮なものとして捉えられた(少なくともリアルな聴き手には)時代を消化し尽くし、2000年以降、ロック、音楽は、ホントに難しい局面にあると思う。一部の天才は延長上で例えばイーグルスの「呪われた夜」より素晴らしい作品を作って名前を残すことが出来る、けど、それは極く少数だ。アルバムの多くは過去のカタログに勝つことが出来ない。広告は、今のアーティストを売らなければならないので必死に過去を否定し現在のものを讃える。でも、それは逆に新譜を買うことへの失望を増幅させるのだ。
  • 一曲なら良いのかもしれない。アルバム一枚個性で聞かせるアーティストなんてザラにはいない。iTunesiTMSは音楽の寿命を長びかせるのかもしれない。ただなんかつまんねーよな。