solid bond

never a dull moment

tears / Here Come the Tears

Here Come the Tears

Here Come the Tears

バンドがヨリを戻す。大抵、直前の活動がうまくいかなくなったことを突破するためだったり、カネ目当てだったりする。で、ロクなものが生まれない。黄金期を共に過ごしたファンですら、複雑な気持ちでそれを見守る。心の中では必ず黄金期を求めてしまう、しかし、同じ方法論で最も良かった頃の自分達を再度表現することは無理だし、同じことをやるとそれはそれで批判を浴びる。結論、再結成は9割方うまくいかない。

しかし、フィルターを外して純粋に楽しんでみると、再結成ものにも良い作品が紛れていることがある。

ティアーズはスウェードの最も輝いていた時期のフロントマン二人がヨリを戻したバンドだ。プロデューサーとしても成功しつつあるバーニーに、スウェードを解散させたブレットが話を持ちかけたようだ。作品もその力関係が出ていて、バーナード・バトラーのソロにブレットが参加したような感じになっている。さすがにこの二人が組んでいるだけあって、ソロ期に封印されていた独特のネットリ系ギターソロが復活し、ドッグマンスター、ニューモーニング、そしてバーニーのソロが全て混ぜられ、それだけ聞くとなんだか凄く消化し難いもののように思えるが、商品的にしっかりと纏まっている。凄く良い作品。
この二人の再結成を待ち望んでいたファンにとっては、この二人=ドッグマンスター、ではないか。あの混沌としたアルバムの先をみたかったんじゃないか。このアルバムはその答えにはなっていない。SUEDEファンからは失望の声が上がるのは当然だ。僕も聴き始めの頃は物足りなく思った。
だが、凄いクオリティだよ、このアルバム。SUEDEぽさは薄れているが、バーナードの個性も、(今の)ブレットの健康的な個性も、しっかり生かされている。SUEDE関連では3番目に好きなレコードだ。(ドッグマンスター、バーニーソロ1作目、そしてこのアルバム。)このユニットの先をあまり期待はしないが、「再結成もの」として扱われ低い評価しか受けないのはあまりにも寂しい。しっかり聴こうぜ。