- アーティスト: Beck
- 出版社/メーカー: Geffen Records
- 発売日: 2005/03/29
- メディア: CD
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聴く音楽全てが新鮮だった高校の頃と、今の自分の感性は、だいぶ違うものになっていることは認める。もう10年以上になるのだ、メロウ・ゴールドの発売から。その間に自分の聴く音楽の幅も広がったし、いろいろなムーヴメントが作られては消えていった。メロウ・ゴールド的なものもとっくに消化されていった。よって、「新しい音楽の扉をノックし続けるオルタナ・スター・ベック」という認識はさっさと捨てなければならないのだが、ずっと出来ずにいた。必ずベックに期待してしまう自分がいた。そう、オデュレイはもとより、ミューテーションズ、シー・チェンジと、必ずそれなりにその期待に応えてくれる、頼もしいベックがそこにいたからだ。
しかし、このアルバムがそんなベック像をようやく吹き飛ばしてくれた。これから僕の中でのベックは、U2やローリングストーンズ、オアシスあたりと同じ「スター」だ。
自分の過去のアルバムを自分で焼き直した内容。割り切ってしまえば悪くない。i-Podで一曲一曲バラで切られれば「お!いいじゃんコレ!」と思うだろう。それも全曲。クオリティは相当なものだ。ただ、マインドが乗っかっていない。今までのベックには「クール」とか「必死」とかいろんな気持ちが乗っかっていた。でもこのアルバムには素晴らしい「曲」しかない。商売やっちまったなあ、ベック。きっと次のアルバムはダークな方向へ向かうんだろうなあ。
繰り返すが曲は凄く良い。ただ、童顔の少年もオッサンになるときが来るという事を認識して、寂しくなるアルバム。