- アーティスト: Paul Weller
- 出版社/メーカー: V2 North America
- 発売日: 2004/09/14
- メディア: CD
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そんなウェラーの引き出しは、キャリアの都度、カバー曲というカタチでも表に出ている。ジャム時代の「デヴィッド・ワッツ」やソロになってからの「セクシー・セディ」あたりはとても完成度が高く、カバー曲をまとめたアルバムも作られた。
そして、デヴューから27年を経て作られたのがこのカバーアルバムだ。ウェラー曰く、「自分のお気に入りの曲というより、演奏してみて自分の解釈が出来る曲を選んでみた」とのこと。お気に入りのスモール・フェイセズやビートルズのカバーが入っていないのは少し残念だが、御大がおっしゃるとおり、全てウェラーのオリジナル曲と間違うぐらい、ウェラー色に染まりきっている。
ここ数年で最もポップな作品になった。全ての曲にそれぞれ顔があり、また、かなり上品にアレンジされている。スタイル・カウンシルっぽい曲も何曲かある。ヘヴィー・ソウルあたりでピークを迎えたウェラーのロックへの情熱は、かなりバランスのとれたものに変わってきたようだ。歌声も、ツバを唾してばかりいるものばかりでなく、ぐっとチカラをかみ殺して歌う曲もあり、更に表現の幅が広がった。
アルバムの最後を飾るニール・ヤング作の「バーズ」がこのアルバムを象徴している。ウェラーはニール・ヤングのような天才型のアーティストではない。しかし、オリジナルの荒々しい「バーズ」とは異なる、美しく整えられたポール・ウェラーの「バーズ」を作ることが出来る。これがウェラーの生きる道だった。今までも、これからも。