solid bond

never a dull moment

John Frusciante / Will To Death

The Will to Death

The Will to Death

ジョン・フルシアンテのソロアルバムの中でおそらく最も聴きやすいアルバムだと思う。シンプルなメロディを生かす素朴なアレンジが凄くかっこいい。友達のデモテープのようなヘナヘナな曲もあるんだけど、どの曲にも必ずそのウタが作られなければいけなかった「必然」のようなものが存在している。ひとつひとつにジョンの魂(!?)のかけらがしっかり混入している。

アルバム全体で聴くよりも、一曲一曲分断して聴いたほうがその凄さが実感できる。ひとつひとつのメロディーの完成度が、他に比べるアーティストを見つけれないぐらい高い。そして、そのメロがアレンジを通過して、しっかりポップに昇華されている点が、今までのフルシアンテと大きく異なる所だろう。特に凄いのが六曲目「the mirror」以降のアルバム後半の曲。美しすぎるメロディーは、天才としか言いようが無い。7曲目「a loop」では、チリペッパーズの作品でも聴けないような才気に満ちたギターも披露している。

ジョン・フルシアンテの写真を見ると、常に「死」を感じる。しかも今回のアルバムタイトルは「死への意思」だ。彼の作り出す音楽はいつも絶妙なバランスで保たれている。このアルバムは、そのギリギリの不安定さが、しっかり作品に反映された素晴らしい作品だと思う。数十年後に振り返ったときに特別な価値が付けられていないと良いとだが。そんな心配を要する現在では稀有な存在。実はけっこうタフそうだけど。