solid bond

never a dull moment

the Libertines /the Libertines

Libertines

Libertines

最近の若手のバンドの中ではダントツの人気・話題性を誇るバンド。ロマンを感じさせるバンドストーリーは確かに面白いのだが、音を聴く分にはあまり関係ない。ピーターがジャンキーで、捕まって、カールがそれに耐えながらバンドを切り盛りして・・・、どっちでもいいよ。それでこのバンドをピストルズ以来のホンモノのパンクバンドと捉えるのは、マニックスの評価を見誤ったことの二の舞を踏むと思う。

とんでもなくヘナヘナな音にまずびっくりするだろう。ヨレヨレ過ぎるリズム隊は逆にそれが妙なグルーヴを呼ぶ、とでも解釈したいが、とてもそんなレベルではない。その辺の高校生バンドと同じぐらいのへなちょこだ。ギターはペタペタいってる。デヴューアルバムはまだ「ジャーン」っていうロックバンドっぽい響きがあったが、それすら放棄。歌声はとことん脱力。でも、気張っていないことで、逆に受け入れ易い音になっているのかもしれない。
音楽的には60年代〜70年代前半のロックバンドの音になっている。ナゲッツからパクってきたような感じ。良いメロディーがハっとでてくるから「クソバンド」と言い切れない。1、5、7あたりのメロディーの進み方は凄く良い。

今のバンドであることを忘れて、60年代のB級バンドの掘り出し物CDだと思って聴くと、随分良い作品だと思える。新しいことは全くやってない。その意思もないだろう。ただ、非常に古典的で、ヤクチュウにしか作れない、ボロボロの時代の音がしっかりと蘇っている。

かなりイライラする曲もある。テンポをあげた曲は曲全体の歪みがひどくて聴けない。だが、ナゲッツの中にこのアルバムの曲が入ってたらどうだろう?良い曲だな、って理解をするんじゃないか。
悪いアルバムではない。でも、このバンドが他のバンドより優れている音楽的な「何か」は、僕には見えてこなかった。