solid bond

never a dull moment

  • Cracker / Golden Age


96年発表。当時のCMJチャートでは大いに話題となったアルバム。グランジの精神を持った上で、古典的なアメリカンロックを鳴らす。いくらがなりたてても、疲れを帯びてしまう声が最高。
1曲目のタイトルは「I HATE MY GENERATION」。クラッカーらしからぬ激しさを持った曲で、当時の僕はグランジにトドメを指す曲なのだろうな、と理解していた。ここでいう「MY GENERATION」には自分も入っているのだろうなあ、と思った。

僕が大学に入学したのは95年で、それから既におよそ10年が過ぎてしまっている。10年ひと昔、とよく言うが、いよいよ自分達の青春(?)時代についても評価が固まるような時期に来たと思う。凄く閉塞感があり、先が見えず、「うぜえよ」とか「つまんねーよ」とか言い続けていたなあ、と回顧する。ブリットポップのような弾けた気分は半日常的、ある意味憧れ、大いなるエスケイプで、日常は地面に潜るような感じだった。やたらとシニカルで、やることなすことに、なんらかの意味を求めて、見つからず苦悶して、結局何もしない、そんな雰囲気が支配していた。

クラッカーの枯れた音を聴くと当時を思い出す。灰色の仙台の空、吐き出すタバコの煙。ただ、非常に心地良い居場所(逃げ場?)であることは間違いない。

前に進もうとしても進まない音。足下の泥沼が深過ぎる。ただ、踏みつける感触、ようやく踏み出す一歩は非常に気持ち良かったりする。アスファルトの上を一所懸命に走り続ける今の主流のロックとは全くベクトルの違う音だ。世代の音が鳴っている。