solid bond

never a dull moment

  • Shining / True Skies


元ヴァーヴの残党が二人、そしてジョン・スクワイアに見出されたヴォーカリストがいることで話題を集めたバンド。どうしてもリチャード・アッシュクロフト、そしてヴァーヴとの比較は避けられない。僕としては、リチャードのソロより明らかに素晴らしく、そして一部の曲のクオリティは「アーバン・ヒムズ」に勝るとも劣らないと考える。つまり、かなり良く出来たアルバムということだ。

非常にUK色が濃い、古典的なロックサウンドだ。野太いベースとオカズの多いドラムが作り出すグルーヴが心地良い。リズムの土台がしっかりしているため、ギターや鍵盤といった装飾はシンプルで、ひとつひとつの音の響きを大事にした感じ。この「響きを大事にした感じ」がヴァーヴを彷彿とさせる。上に乗るのは、いかにもイギリスって感じの、ちょっとブルージーで憂鬱な曇り空メロディー。これが練られていて素晴らしく、そして、非常にヴァーヴを感じさせるものなのだ。特に2曲目の「young again」。歌いだしのメロディーはまさにヴァーヴ!泣きそうになった。しかし、ヴァーヴのどの曲よりもグルーヴィーでかっこいい。荘厳さを抜いてロックのかっこよさを追及したヴァーヴ?!

正直、「これで歌声がリチャードだったら・・・。」と何度も考えさせてしまう作品だ。ただ、ヴォーカルの声がリチャードに劣っているかというと、そんなことは全く無く、イギリスの王道のロック声で、特にシャウトはリチャードの数倍はかっこいい高音を利かせてくれる。しかし・・・。

どうしてヴァーヴをこのバンドに重ね合わせてしまうかというと、リチャードのソロアルバムの音が、あまりにロック的じゃないからだろう。シャイニングに刺激を受けて、リチャードもロックへの回帰をお願いしたい所だ。そうすれば、ヴァーヴの亡霊から離れ、もっとシャイニングの音楽性を純粋に楽しむことが出来るのではないか。