solid bond

never a dull moment

  • Vines / Winning Days


前作がヒットしたオーストラリア出身のバンド、VINESの2NDアルバム。メディアでは賛否両論、というより酷評が目立つ。僕は最高のポップロックアルバムだと思うんだけどな。

僕は、「I AM SAM」のサントラに入っていたビートルズのカバー(I’m only sleeping)を聴いてこのバンドを好きになったんだが、その路線を更に推し進めた感じに仕上がっている。このバンドの魅力は、中期ビートルズを彷彿させるLSDっぽい浮遊感にあると思う。前作は激しい曲とバラード曲の出来に差がありすぎ、せっかくのメロディーが強調されなかった。今回は激しい曲にもラリッた浮遊メロディーがしっかり生きている。バンドは1STアルバムの成功でかなり混乱したようだが、その中で自分達の良さというものをなんとか再確認することが出来たようだ。ニルヴァーナがどうのこうのって言われることが多いが、ロック的激しさはプロデュースされた際に付加された要素だと思う。

音作りは相変わらずオーバープロデュースな感じだ。非常に精巧な音で、ポップ。耳なじみは非常に良いんだが、ロック的な演奏ではない。だからこのバンドは激しい曲に違和感があるんだよな。

曲は粒ぞろいだ。特に④⑥⑧⑨⑩は名曲だ。このバンドのソングライターは、本質的にレノンなメロディーを書ける、稀有な人間だと思う。オアシスの「リトル・ジェイムス」あたりの5倍は良い。リアムは歯軋りしながらこのアルバムを聴くんじゃないか。

前作ほどの成功は収められないだろうが、20年後ぐらいに、ポップアルバムの隠れた名盤として再評価されそうな感じ。正直既に「終わった」感じがアルバムにあるんだよ。新作を聴いてる感じがしないんだ。アルバムの最後のほうの雰囲気が、アビーロードの最後のメドレー並にクラシカルで、終わっている雰囲気に拍車をかけている。久しぶりにこういうメロディーを聴いた感じがする。「SUN CHILD」が素晴らしすぎる。