solid bond

never a dull moment

  • Starsailor / Silence Is Easy

デヴューアルバムは「暗い」「悲惨」「演歌」などメディアからいろいろ批判をくらっていた。しかし、僕は大好きだった。ジェイムスの声の圧倒的な存在感、達者な演奏、そして何より、アルバムの中にしっかりと存在したひとつの世界観。決して「暗い」とかで片付けきれない素晴らしさがあった。っていうか暗くて何が悪いんだ?いろんなレヴューを見てそう思ってた。

で、この暗さも含めた箱庭的世界が、スターセイラーの個性だと考えていた。しかし、ライヴを見てイメージが変わったね。もっと突き抜ける何かを間違いなく持っている。小さな世界の中で自分のことだけ歌ってるだけでは確かにもったいない。それだけの声と、演奏だった。

そして、このセカンド・アルバム。
前作のような内省的な曲の出来は勿論のこと、天から光が降ってくるような明るい曲が、もの凄く良い。silence is easy〜telling themの流れは最高だ。
あきらかに、スケール感が増している。演奏も、歌声も。箱庭の中での演奏では無い。もっと広い所に向かって鳴らされている音だ。歌声が外へ向けられ、その歌声を輝かせるためにキーボードの音やシンセ、ストリングスの音が大きくなっている。ロックバンド的要素が減った。
それが顕著なのが、自分達でプロデュースされた曲というのが興味深い。
フィル・スペクターやジョン・レッキーといった巨匠が手がけた作品のほうが、前作の箱庭的世界に近い。ただ、巨匠のプロデュースした曲のほうが明らかに上手にまとまっている。

リチャード・アシュクロフトの「urban hymns」〜「alone with everybody」っていう流れに近いのかもしれない。リチャードは更なるスケールを求め結局失速した(僕は好きだけど)。スターセイラーは受け入れられるだろうか。僕は断固支持します。しかし、しっかりプロデューサーに一枚見てもらってたほうが、もっと良かったんだろうなあ、とは思う。