solid bond

never a dull moment

REMのワーナー時代のベスト版。即ち黄金時代のベストだ。

僕はREMについては、「たまにいい曲を書くバンド」ってぐらいにしか思っていなかった。「REM超好き」ってヤツが全く理解できなかった。「モンスター」発売の頃にはRO誌の表紙になったりしていたけど、そんなに支持される理由がわからなかった。マイケル・スタイプの佇まいは認めるが、声が凄く嫌いだった。なんかキモチ悪い声、って思ってた。
 ところがわからんもんで、自分でベストを作って何度か聴いているうちに、凄く良いことに気づいた。それはホントつい最近のこと。ようやく出た、このベスト盤で、間違いなくREMはファン層を広げるだろう。僕みたいな食わず嫌いをしていた人間は是非聞くべきだ。もっと早く出るべきだったんだ、このCD。

REMの曲は、他のバンドの曲とは違う独特の個性がある。ほとんどが短くまとめられたポップソングなのだが、必ず曲の中に「ヒネリ」を入れてくる。そこがフックになって、頭に凄く残る。「良い」とか「悪い」とか考える以前にまず強い印象を残す。それを自分なりに解釈するには多少の時間を要するのだが、免疫がつくと、中毒のように嵌ってしまう。マイケル・スタイプの独特な唱法もその効果に凄く作用していると思う。声に慣れてくると、頭の中と外、生と死を行き来るするような、(当然そんな感覚はどんなものかなんてわからないけれど)不思議な感覚を、瞬間的に味わえる時がある。そういった時は背中に悪寒が走るような感じになるのだが、なんとなくバイセクシャルなアーティスト特有のものという感じがする。

 ①⑥⑦⑨⑩⑭⑯といったあたりを改めて聴くと、ああホントいいなあ、とその良さを再認識できる。⑧あたりの音作りは今聴くと古臭いが。新曲「bad day」はシンプルでわかりやすい名曲。コレ一曲のためだけにこのCDを買ってもいいと思う。曲順も年代順ではなく、自然な流れになっており、REMのアルバムを1〜2枚しかもっていないというヒトならマストだと思う。