solid bond

never a dull moment

「after the gold rush」はニール・ヤングのソロとしては三作目にあたる。
1970年。ウッドストックの幻想も消えかけ、バンドという共同体から、それを構成する「個」に光が当たるようになる時代の狭間だと言える。全米チャートでも8位を獲得。ソロとしてのニール・ヤングの土壌を固めた作品だといえる。

トムがカバーした「afeter the gold rush」を始め、シンプルなアレンジの曲が多く、最近の「荒っぽいギターを弾くツバを飛ばしそうなオヤジ」の雰囲気とはちょっと違う。日本の音楽にたとえるならば中期のサニーデイサービス。いわゆるレイドバックした雰囲気なのだが、同時期のエリック・クラプトンらのレイドバックとは温度が違う。ゆったりとした空気の中でも、いったんウタが始まると緊張感が漂う。この独特の存在感が、なにをやってもある程度の信頼を得る、以降のニール・ヤングの、ニール・ヤングたる所以なのだろう。

この時期のニールのウタは非常にメロディアスだ。大雑把な演奏とのギャップが素晴らしい。特にこのアルバムは、ハズレの曲が無い。また、アレンジも非常にシンプルで、この時代の、もう一つの代表作「ハーヴェスト」のような暑苦しさもなく、気持ちよく聴ける。