solid bond

never a dull moment

 最近のロックを聴いていてつくづく思うのは、「なんか変だ」って感じさせる瞬間が非常に少なくなったなあ、ということだ。音・立ち振る舞い・発言・メロディ、なんでもいい。「あ?なにコレ」って思わせてくれた瞬間、その「なにコレ」がプラスのものでもマイナスのものでも、僕がそのモノに激しく興味を覚えた、という時点で、勝ちである。そう考えると、2003年はraptureがダントツに衝撃的だった。ある意味、mandoも「なんか変だ」って点ではぶち抜けていた。ただ、音楽を聴けば聴くほど、そういう瞬間は少なくなっていく。人生自体がそういうもんか。

led zeppelinは、初めて聴いたとき、最も多くのエクスキューズを僕に与えてくれたバンドだ。ロバート・プラントの声、ジミー・志村・ペイジの不可解なリフ、そしてなんといっても、はちゃめちゃドタバタしているのに凄くロールしまくるジョン・ボーナムのドラム。ポール・ジョーンズのベースは、それらをギリギリのところで接合させる。初めて聴いた曲は「ロックン・ロール」だったと思うが、津波がいきなり押し寄せたような強烈なインパクトを受けたのを今でもしっかり覚えている。

2003年に出たこのアルバムは、72年頃の彼らのライヴを生々しく伝える。(ジミー・ペイジのことだから、激しくオーバーダビングを加えたりしているとは思うが。)今のロックには無い高いテンション、音の圧力、グルーヴが、ここには確かにあり、笑ってしまうほど「?!」な瞬間も幾つか存在する。ロックがシニシズムに犯され、自由に身動きがとれなくなる前の、「俺イズム」爆発の音。爽快だ。すごく官能的なロックンロール。こういう圧倒的にロックでセクシーで危険な香りのするライヴを、一度は見てみたい。モッシュや、OYOY叫んでぶつかり合うだけのライヴは、もう飽き飽きだ。