solid bond

never a dull moment

paul weller / as is now

As Is Now

As Is Now

この新作、「若返った」と高い評価を受けている。確かに、3曲目の「come on / let's go」あたりはJAM時代を彷彿とさせるのギターのストロークが若々しい。けど、全体的な感触はやはり等身大のポール・ウェラーだ。「若返った」だけで語れるような作品ではない。

音作りは非常にシンプルだ。初期衝動を大切にしたんだろう、作りこんだ感じがしない。僕のようにスタンリー・ロード周辺の第三期黄金期を愛している人間にとっては、サイケを帯びた深みのある音がもっと欲しいと思うかもしれない。しかし、おかげでリアルなウェラーが伝わってくる。ここ数年ではもっとも剥き出しでわかり易い作品になっていると思う。
良い曲が沢山入っており、コンポーザーとしての勘はすっかり取戻している。中盤のスロウなナンバーの出来がすこぶる良い。これだけのキャリアを誇りながら、未だに過去の焼き直しにならない曲を作れるのはさすがだ。決まったカタチを持っていないからこそだと思う。

ブリットポップの頃は、モッズ・アイコンとしてのウェラーの魅力が、音に先行していたと思う。しかし、今のウェラーは、そういった魅力以上に音楽が素晴らしい。作品の質では新たな黄金期がやってきたと言っても良いと思う。僕は成熟した傑作だと思う。